
2月最後の土曜日、カルチャー教室「里山講座」の今年初めての山行として、戸隠高原でのスノーシューを楽しんだ。
7時に長野駅前を中型バスで出発。戸隠森林植物園の駐車場でレンタルのスノーシューを着け、奥社入り口に向かって歩き始める。
植物園の中は一面の銀世界。小雪の舞う雑木林の中をスノーシューの踏み跡をたどって進むと、程なく奥社入り口の鳥居に。鳥居前の広場では30人ほどの女性グループが準備体操をしていた。やはりスノーシューを楽しむ一行だ。

ここからは参道を真っすぐ奥社方面へ。冬でも参詣者が絶えないのだろう。踏み跡が細い雪道になっている。スノーシューでは幅が狭く歩きにくいので、道脇の雪面を進む。
途中の随神門で一休み。時間に余裕があったので、奥社まで行くことにする。雪の杉並木も風情があっていい。両脇には除雪したような雪の山が続く。不思議に思っていたら、上部の枝から、どさっと落ちる雪だった。
奥社に近づくにつれ、雪の量が増す。石段はすっかり埋まり、急な坂になっている。たどり着いた社殿は、屋根に2メートル以上も雪が積もり、建物はほとんど雪の中。正面の入り口部分だけが顔をのぞかせていた。
奥社の社殿は何度も雪崩で倒壊し、今は鉄筋コンクリート製だ。「ありがたみがない」という声もあるが、木製ではとてもこの豪雪に耐えられないだろう。
再び随神門に戻って、植物園の中を鏡池へ向かう。途中の天命稲荷で休憩し、木立の中を進むと、すぐ池の上に出る。
氷が張った池の上は全面が雪に覆われているので、地面との境がよく分からない。池の中央にある枯れ木を囲み、先着組が盛んに写真を撮っていた。ここまで来られるのは冬ならではだ。
鏡池からの戸隠連峰の眺めに期待していたのだが、あいにく天気は小雪まじり。西岳や戸隠山は輪郭を見せず、山腹が墨絵のようにぼーっと見えるだけだ。

山の眺望は諦め、池のほとりの冬季閉鎖中のレストランのベランダを借りて昼食に。食べ終わって再び池に戻るころ、天気はみるみる回復。青空をバックに、日差しを浴びた荒々しい雪山が眼前に迫っている。
あまりの素晴らしさに、雪の鏡池を手前に何枚も写真を撮る。メンバーからは「テレビにメールで投稿したら」の声も。
まれに見る絶景を堪能した後、再び植物園の中を戻る。往路ではまったく見えなかった雪の戸隠連峰が、樹間越しにまぶしく輝いていた。
(2017年3月18日号掲載)
=写真1=白銀の戸隠連峰西岳をバックにスノーシューで歩く
=写真2=雪に埋まった奥社