
普段の生活で、足の裏のことを考える機会はあまりないかもしれません。でも、足裏には、「歩く」「走る」以外にも、健康を保つために重要な役割があります。
足は「第2の心臓」とも呼ばれ、足先まで運ばれた血液を心臓に戻すポンプのような役割をしています。足をマッサージして血流を良くすると、全身の血液循環の改善につながります。
足の裏には、東洋医学で反射区と呼ぶ「つぼ」も集まっています。反射区とは、身体のさまざまな器官や内臓とつながっているとされる神経の集中した場所。そのつぼを押すことで、つながっている内臓の機能を高めることができます。
体全体の重みがかかる足裏の筋肉は、気が付かないうちに疲れがたまり、硬くなってしまうことがあります。そうすると、歩くときに足の指がうまく使えなくなります。そのままの状態で歩き続けると、腰などに負担がかかり、腰痛を引き起こすことがあります。
代表的なつぼ
健康維持や安定した歩行を得るために、足裏の指圧が有効です。足裏の代表的なつぼを紹介しましょう。指圧は、「3秒間押し、3秒間緩める」を1回として、5~10回繰り返します。
〈1〉ストレスや疲れがたまっているとき
足の指を曲げたとき、くぼみができる所(湧泉といいます)を押します。不眠やストレスがたまっているとき、また冷えを感じるときの症状改善に有効です。
〈2〉胃腸に疲れを感じるとき、腰が痛むとき
土踏まずを押します。ここには、胃、すい臓、十二指腸などの消化器官につながるとされるつぼが集まっています。また、この部位は「内側アーチ」と呼ばれ、この部分が低くなると偏平足となり、外反母趾(ぼし)になりやすくなります。
〈3〉お酒を飲み過ぎたとき(右足)、全身の倦怠(けんたい)感があるとき(左足)
右足の裏、中央よりやや上の外寄りにあるつぼは、肝臓に対応しています。左足の同じ場所は、心臓と関係しています。どちらも人の生命活動にとって重要な臓器です。
冷えやむくみなどに
足裏を押したときに痛む所は、その場所に関係した臓器が疲れているのかもしれませんし、歩き過ぎで筋肉が硬くなっているのかもしれません。足裏を刺激することで、全身の弱った機能の改善が期待できるほか、冷えやむくみ、腰痛や肩こりの改善、リラックスの効果が得られるのです。
(2017年5月20日号掲載)
=写真=井上 正徳(診療技術部 リハビリテーション科主幹=理学療法士)