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102 チェコの地方巡り・チェスキー・クルムロフ ~全てが絵になる美しい街

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 チェスキー・クルムロフは、「世界で最も美しい街」ともうたわれる世界遺産の街である。旅人が一度はチェコへ来たいと思う第一の目的地だろう。実際、ここで知り合った日本の大学生2人は、プラハから日帰りで早朝に出て夜戻る―と、駆け足旅行をしていた。

 クルムロフはチェコ語で「ねじれた川辺の湿地帯」を意味する。中心を流れるブルタバ(モルダウ)川がここでヘアピン状に湾曲する。「床屋橋」と呼ばれる中心地から見上げるクルムロフ城の塔が、ライトアップされている。街をそぞろ歩くと、昼夜を問わず、おとぎの国に来たかのような錯覚を抱く。

 南隣はオーストリア。丘の上に立つ城の天井には、かつての城主ローゼンベルク家のバラの紋章が飾られている。「バラの一族」の名にちなみ、バラずくめだ。

 16世紀、彼らは財に任せて、イタリア・ルネサンス様式を積極的に採り入れた。イタリアかぶれで、「仮面舞踏会」なる部屋も設けて、日夜、演劇や踊り子たちを呼んだ。3世紀にわたって増改築が繰り返された。城内はそんな栄華をしのばせる装飾でいっぱい。壁にはだまし絵が多い。

 別棟につながる渡り廊下はブラーシュチョビー橋で、4層からなる大きな橋だ。下からの眺めはビュースポットの一つにもなっている。

 隣接の塔は、壁をひっかいたように描かれたカラフルなスグラフィート装飾で、ルネサンスからバロック様式へ、時の移ろいが見て取れる。作家カレル・チャペック(1890~1938年)をして、「最も塔らしい塔」と言わしめた。この塔を中心に街は形成されている。
 この街は全てが絵になる。旧市街のスボルノスティ広場を拠点に、川沿いの街を歩くのもいいし、エドワルト橋周辺も絶好のスポットだ。

 母がこの街の生まれで、居を構えたことがあるオーストリアの印象派画家、エゴン・シーレ(1890~1918年)の美術館もある。街の歴史と歴史的人物を見るろう人形館など、変化に富む。

 城の西にある野外劇場に歩を進めた。夏に地元の作曲家ドボルザーク(1841~1904年)の作品を上演している劇場だ。
 夏しか開催されないが、客席が珍しい。回り舞台は日本にもあるが、こちらは観客席が回る。時期外れだったので使われてはいなかったが、野球場の観客席を切り取ったような緑色の機械仕掛けの回転席があった。
 (高校英語講師)
 (「チェコの地方巡り」おわり)
(2017年7月8日掲載)

写真=「世界で最も美しい街」チェスキー・クルムロフ
 
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