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105 アイルランド ニューグレンジ ~「最重要」評価もある石室墳

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 アイルランドの首都ダブリンの北西、「タラの丘」の近くに、遺跡群ブルー・ナ・ボーニャ(ボイン川の宮殿)がある。そのうちの一つが考古学上、世界で最も重要だという評価もある世界遺産の石室墳「ニューグレンジ」である。

 入場見学は1回18人限定。まず入り口で、渦巻き、ひし形、ウロコ状や幾何学模様のある大きな石に圧倒される。この石室墳は、97個の縁石に囲まれたパッセージ・グレーブ(墳丘墓)である。長い方は直径80メートルほどの楕円形で、高さは11メートル。面積は4千平方メートルに及ぶ。

 1699年、大河ボイン川近くに住んでいたチャールズ・キャンベルという農民が、土手の石を取り除こうと仲間と掘っていたら、異様な紋様の岩と、さらに深い穴が現れてびっくり仰天。そこに石で設けられた屋根や通路もある。仲間と共に中に入ると、部屋もあるではないか。

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 国が1962年に買い上げてから、大規模な探索が始まった。クレア・オケーリー教授らの調査チームにより、ニューグレンジが5千年前に造られ、エジプトのギザ・ピラミッドより5百年、イギリスのストーン・ヘンジよりも千年古いという大発見であることを証明した。

 ニューグレンジの内部は、深さ20メートルほど。かがんで進むと、やや広い室がある。その上には、聖堂にあるような高い天井がある。すき間のない石積みで、雨漏りも一切ないほどの技術だという。

 「8時58分に一筋の日光が天窓から差し込み、通路を通って墓室の床を横切り、部屋の奥の石たらいを照らし出したのです」と案内してくれたガイド。オーケリー教授は1967年、冬至の日に午前8時54分の日の出から4分半だけ、20センチ幅の光の帯が起きるという極めて高度な設計が成されていることを実証した。

 ガイドが、古代の埋葬法を説明した後、ライトを消すと、真っ暗。そして、冬至の日に起きる入り口上部のルーフボックス(天窓)から差し込む光の帯が再現された。これがハイライトで、人気NO1。その神秘性を体感できる工夫に、拍手も起きた。

 妻がアイルランド人で、米カリフォルニア州から見学ツアーに参加したバーバー夫妻は「人類の驚異の歴史。祖国の先祖にこういう高度な技術を持った人々がいたことに敬意を払うとともに、国の誇りでもある」と、興奮気味に話してくれた。
(2017年8月5日掲載)

上=ニューグレンジの外観
下=入り口に横たわる渦巻き模様の石
 
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