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66 鍬ノ峰 ~急登続き 残念な北アの眺望

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 梅雨明け後の7月末の土曜日、カルチャーセンター「里山講座」の会員たちと大町市常盤の鍬ノ峰(1623メートル)に登った。

 地元では「常盤富士」と呼ばれ、麓から見ると、二つの峰が鍬の刃先のように見えるのが山名の由来という。初夏のシャクナゲと秋の紅葉、それに北アルプスの眺望が人気だ。

 7時に長野駅前を大型バスで出発。昭和電工大町工場の脇を通り、国営アルプスあづみの公園の先から狭い林道に入る。覆いかぶさる枝葉がバスのフロントガラスや屋根に当たるため、登山口の1・5キロ手前の餓鬼岳登山口で下車し歩き始める。

 高圧線巡視プレート「No18」が登り口だ。巡視路の急な樹脂製階段を登っていくと、見上げるような鉄塔が現れる。その下で小休止。暑さがこたえる。

 再び、笹やぶの中の急坂を登る。標高差600メートル余の急登が続く途中、時折、樹間から安曇野の田園風景がのぞく。

 南尾根まで登り、大きな岩頭を右に巻くと、急な崖っぷちに出る。この山一番の難所だ。下を見ずに、ロープを伝って慎重に渡る。その先の稜線上は風化した花こう岩のザレ道が続く。両脇はナラやシラカバなどの広葉樹林だ。秋には紅葉がきれいだろう。

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 何箇所かロープのある岩場を登り詰めると、南峰に達する。標柱もなく、立ち木で展望が遮られているため、通過点のような場所だ。

 この辺りから急にシャクナゲが多くなる。ピンクの花が咲く時季は、さぞ美しいことだろう。

 目の前に山頂部の北峰が現れた。いったん下って上り返すと、背丈ほどもある数株のササユリに薄ピンクの花が咲いている。その先が山頂だ。木々が切り払われ、小広場になっている。

 東側は安曇野の北部や大町の市街地を一望。北から南へ高瀬川が流れ、遠く木崎湖も見える。西側には北アルプス後立山連峰の峰々が連なるが、あいにく上部はガスに覆われて見えない。麓にロックフィル式の七倉ダムが青い水をたたえている。眼前の唐沢岳や餓鬼岳も霧の中だ。

 北アの眺望は期待外れだったが、山頂ではきれいな高山チョウが乱舞し、早くもトンボが飛び交っていた。

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 昼食を済ませ、来た道を下る。ロープの岩場や崖っぷちの難所を、バランスを崩さないように越し、下山口へ。待っていたバスで林道を下る際、数人が降り樹木を押し上げて通す場面も。

 帰路は大町温泉郷のホテルに立ち寄り、汗を流して夕刻、長野へ。
(横前公行)
(2017年8月5日掲載)

山頂から眺める北アルプス。あいにくのガスで見えずじまい=(上)
崖っぷちの難所をロープを伝って渡る=(下)
 
中高年の山ある記