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2017年秋02 チゴハヤブサ ~異変が目立った今季

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 春先、東南アジアなどから渡ってきたチゴハヤブサが、南へ帰る時季を迎えた。北海道や東北地方北部で繁殖し、長野県が南限とされる渡り鳥だ。主な飛来地は北信地方で、長野市で1994年に初めて繁殖が確認されて以来、一帯で毎年記録されている。

 県版レッドリストでは、2015年に「留意種」から「絶滅危惧1B」へランクアップ。個体数が少ないという理由だ。

 日本野鳥の会長野支部長の小林富夫さんによると、今季はチゴハヤブサに異変が相次いだ。6月ごろに長野市消防局の鉄塔で営巣を始めたが、中断。8月には、同市平林の中部電力変電所に若鳥が迷い込んだり、南部の神社や南堀の住宅地などではけがをした若鳥を保護したりしたという。

 今年初めて営巣した同市南部の神社。8月下旬にひなが巣立ち、境内にある高さ20メートル余の松の樹上で餌を受け渡しする親子の姿が見られた。

 連日、県内外の鳥愛好家、カメラマンが集まり、望遠レンズがずらり。動きがあるごとに、シャッター音が連続してうなる。警戒する親が時折、周辺を猛スピードで旋回を繰り返す。来季も姿を見せてくれるか心配になる。

 チゴハヤブサは、ハトほどの大きさで、営巣場所は市街地の社寺など。まれに自分でも作るが、主にカラスなどの古巣を利用することが多い。08年に取材した寺では、営巣前、ケヤキの樹上にあるカラスの巣を巡って壮絶な戦いの末、乗っ取りに成功。3羽のひなを育て南に帰った。

 同支部は、中曽根のスパイラルの森で9月16日(土)、23日(土)に、信州新町の小花見池で17日(日)に「タカの渡り観察会」を行う。毎年、数羽のチゴハヤブサも見られるという。
(2017年9月16日掲載)

写真=松の樹上で、餌渡しをするチゴハヤブサの親(左)とひな=長野市南部の神社で8月20日撮影
 
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