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2017年秋05 ワルナスビ ~繁殖力旺盛な厄介もの

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 紅葉の時季を迎えた街路樹の植え込みで、薄紫色の花を咲かせている植物がひと際目立つ。ナス科の多年草で明治時代に日本に入ってきた北米原産の外来種「ワルナスビ」だ。

 長野市の国道18号「母袋の高架橋」北側、中千田の信号にかけて、東側200メートル余の植え込みに侵入。サツキの株の隙間や周りを囲むように育っている。

 植え込みから出て、縁石と道路の端にたまったわずかな土砂で芽を出し、列になっている場所もある。除草されて、一見きれいな植え込みもあるが、除去後に芽を出した新しい株が点在。旺盛な繁殖力を見せつけている。

 植物学者の牧野富太郎博士が著書「植物一日一題」(ちくま学芸文庫刊)で、ワルナスビを自分のほ場に植えたことを記している。

 「見かけによらず悪草で強力な地下茎が土中深く四方にはびこり始末におえない。愛想をつかし根絶しようと引き除いても引き除いても地下茎が残り...」「何にも利用のない害草に悪るナスビとは打ってつけた佳名であると思っている」。最初から嫌われものだったことがうかがえる。

 県内では2000年ごろから南信の牧草地で目立ち始め、道路の植え込みなどで見られるようになっていた。長野市内では今季、母袋のほか旧SBC通り、北部幹線、民家の庭先などで確認されている。

 かわいい花とは裏腹に、茎や葉に硬く鋭いとげがある。抜いても残った根や、切断した根茎から発芽する厄介もの。国は要注意外来生物に指定している。専門家は「退治するには根こそぎ枯らす除草剤が有効。何より生育している場所の土壌をほかに移さないこと」と注意を促している。
(2017年10月7日掲載)

写真=国道の植え込みでちゃっかり増殖しているワルナスビ=長野市稲葉で9月10日撮影
 
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