記事カテゴリ:

108 アイルランド モリー・マローン ~非公式のダブリン市歌に

 〈麗しの町ダブリンに 乙女はかわいい娘がそろい かれんなモリー・マローンに 一目でおいらはくぎづけに 広い通りや小路にも 手押し車を押しながら「巻き貝に二枚貝 取りたて新鮮 生きがいい」 そう叫ぶ〉

 (コーラス)

 〈取れたて新鮮 生きがいい あの娘は魚の行商人 そいつは無論当たり前 父さん、母さんだって そうしてた 広い通りや小路にも 手押し車を押しながら「巻き貝に二枚貝、取れたて新鮮 生きがいい」 そう叫ぶ〉

(コーラス)

 〈取れたて新鮮 生きがいい モリーは熱病で あの世に行っちゃった 誰もモリーを救えない かれんなモリーの最期だった だけど彼女の亡霊が 手押し車を押しながら 広い通りや小路にも「巻き貝に二枚貝、取れたて新鮮 生きがいい」 そう叫ぶ〉

    ◇

 アイルランド国民ならこの歌「モリー・マローン」を知らない人はいないだろう。拙訳すれば、こんな歌詞だ。非公式な「ダブリン市歌」とも呼ばれている。

 17世紀ころ、魚を売っていた若い娘モリーが熱病で死んだ―という話の歌だ。彼女の銅像が、大通りから一つ入ったサフォーク通りの聖アンドリュース教会前にあり観光客や市民を楽しませている。

 ダブリン市の1000周年記念で、1988年に中心街のグラフトン通りに建てられた。路面電車の敷設工事で現在の裏通りに移っても、人気は変わらない。日を変えて3回ほどここに立ち寄ったが、いつも人だかり。その様子を見ていると、意外にも、若い女性がモリーの豊かな胸に盛んに手を触れている。像の両胸はぴかぴか。彼女にあやかろうということらしい。

 両方の胸が少しはだけている容姿は、彼女に「ふしだらな女」という風評があったことを連想させる。しかし、当時は母親たちが公の場所で授乳していたので、こうした服装は自然だったのだろう。

 歌は3拍子のスローテンポで、繰り返しの「生きがいい」の「alive  alive oh!」が印象的だ。彼女が他界した6月13日は「モリー・マローンの日」となっている。
(10月14日掲載)

写真:観光客らに人気のモリー・マローン像
 
ヨーロッパ美の旅