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2017年秋10 セイタカアワダチソウ ~拡大原因は人にも

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 10月に入ると、河川敷や田畑、草地などあちこちで、セイタカアワダチソウの黄色の花が一斉に咲き始めた。今年芽生えた小さな花から、群落を形成した所、中には休耕地など一面を覆い尽くした場所もある。市街地の道路脇やわずかな隙間、たまった泥から伸びたものまである。

 キク科で、高さは和名の由来「セイタカ」の通り2~3メートルにもなる。茎の先端に、縦に細長い三角形の花穂ができ、原色に近い黄色は鮮やか。観賞用として明治期に持ち込まれたとされる。

 戦後の高度経済成長期のころ、西日本から全国に拡大。県内では1990年代から目立つようになった。特に北信一帯では、長野冬季五輪で道路や施設建設が進み、一気に分布を広げた。

 拡大の原因は旺盛な繁殖力。地下茎は横に伸びて新芽を出して増え、隣の植物の成長を阻止する化学物質を出す。侵入してから数年放置すると、一面の「セイタカアワダチソウ畑」になってしまう。退治しようと根を切ろうものなら、切片それぞれから芽を出すしたたかな植物だ。

 地下茎のほか種でも増える。花は結実すると、和名「アワダチ」の由来のごとく、灰色の泡のようになる。一株の種の粒は万単位といわれ、風などで拡散される。

 厄介な植物は国の重点対策外来種(かつての要注意外来生物指定種)だが、最近、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)などが、セイタカアワダチソウを含む外来植物が水素イオン指数(pH=ピーエイチ)やリン酸が高い土壌にまん延することを突き止めた。今も拡大を続けることに「厄介な性質を持っているからではなく、繁茂しやすい土壌環境を作っているのは人間」と指摘している。
(2017年11月11日掲載)

写真=道路脇にたまった土からそろって伸びたセイタカアワダチソウ=長野市松代町牧島の国道403号沿いで10月14日撮影
 
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