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110 アイルランド 伝統音楽 ~支配下で発展したダンス

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 アイルランドが加盟している欧州連合(EU)のユーロ硬貨は、裏面にアイリッシュハープが描かれている。「この国のシンボルは何か」と問えば、多くの人たちがシャムロックのほか、アイリッシュハープとリバーダンスを挙げる。その両方を同時に鑑賞できるショーに参加した。

 インターネットで、最後の夜となる帰国前日の晩にあるショーを予約した。会場は、ダブリン郊外の住宅地にあるスタジオ「アイリッシュ・ハウス・パーティー」。出演は、ギターのマーティンさん、フィドルのエメックさん。アイリッシュハープは、エメックさんの20代の娘ジェニーさんである。フィドルは、この国ではバイオリンのことだ。

 こぢんまりしたホールに集まったのは、私のほか、アメリカ人のツアー客が30人、カナダ人が3人だった。

 アイルランドの音楽は軽快なテンポだ。アメリカへ渡った移民が影響を与えて育ったのが、カントリーミュージックだ。もともとアイルランドの伝統音楽は、口承で耳から世代間で伝わった。この日の演奏も伝統を発展させた曲を紹介していた。

 奏者のジェニーさんは、アイリッシュハープの国内チャンピオンだという。一流のソロの演奏を耳にした私は、図らずも涙を浮かべてしまった。

 さらに彼女は、リバーダンスとして世界中で人気のあるアイリッシュダンスも披露してくれた。
 かつてイギリスに支配されていた時代に、遊興を禁止されていた国民が、自分たちが踊っているのを支配者に見られないように、上半身を動かさずに脚だけを使う踊りを発展させてきた経緯がある。東京でも昨年、リバーダンスの大きな公演があった。アメリカのツアー客の中にいた幼い女の子が、一緒に体と脚を動かしていたのが印象的だった。

 すっかり満足した私は、ショーの終了後に3人のサインをもらいに行き、本心からこう伝えた。「きょう私は、確かにアイルランドに恋をしました」

写真=アイリッシュハープを演奏するジェニーさん(右)
 
ヨーロッパ美の旅