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2017年冬01 ムクドリ ~河川敷の竹林にねぐら

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 日が短くなった初冬の夕暮れ。長野インターの西、松代大橋の篠ノ井側一帯に、どこからともなくムクドリが集まってくる。夜を集団で過ごす「ねぐら」の竹林が目的だ。

 小集団ごとに集まり、次第に数を増した鳥たちはいったん近くの電線に集結。薄暗くなり始めた16時半過ぎ、申し合わせたかのように、集団は一斉に飛び立ち旋回を始めた。真っ黒な塊となった鳥の数は2千を超すだろうか。左右、前後、上下...と、大きくうねり緩急を織り交ぜながら、曲芸飛行を演じる。

 10分ほどで竹林に舞い降りる。竹林は上部がしんなりと倒れかかるほど。狭くて居場所を争うのか、一日の報告を会話するのか、にぎやかな鳴き声はいつまでも暗闇に響く。

 竹林は千曲川左岸で河川敷側の堤防脇にある。堤防を挟んだ反対側に大型の飲食店や民家が点在するが、やや離れており、大集団がもたらす苦情は、今のところ長野市には届いていない。

 2000年代に入ってから同市内では、ムクドリの大集団がねぐらを市街地に求めるようになった。04年ころから権堂の街路樹や神社、15年には鍋屋田小学校東側のヒマラヤスギ、今年1月末からは長野駅東口と、次々とねぐらを替えてきた。

 そのたびに住民から騒音やふん害などの苦情が出て、市は樹木の剪定や忌避剤設置、専門家による駆除を進めてきた。今年初めて、6月の広報で「小集団のうちに撃退、情報を」と事前に大集団形成を回避する作戦を市民に呼びかけた。

 これまでに20件近くの情報が寄せられたが、市街地での大集団の情報はない。担当の環境政策課は「大集団が市街地に移動してこないことを祈るばかり」。

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 冬本番を迎えました。写真記者、増田今雄さんの「動植物をたずねて」は今回から「冬」シリーズを掲載します。
(2017年12月16日掲載)

写真=とっぷりと日が暮れた上空を旋回するムクドリの大群=長野市篠ノ井杵淵・西寺尾境で 12月1日16時45分撮影
 
北信濃の動植物