
頭痛は、医療機関を受診するきっかけとなる頻度の高い症状の一つです。市販の頭痛薬を飲むことがある人も多いでしょう。
頭痛は、大まかに「一次性頭痛」と「二次性頭痛」とに分類されます。
「一次性頭痛」とは、CTやMRIなど脳や脳内の血管の形態を調べる検査では異常が認められない頭痛です。代表的なものに片頭痛、緊張性頭痛、三叉神経痛、自律神経性頭痛などがあります。
これに対し「二次性頭痛」は、脳内の病気の結果、生じる頭痛です。くも膜下出血や脳出血などの脳卒中、脳腫瘍、髄膜炎や脳炎に伴う頭痛などです。
時には緊急手術も
頭痛の診断は、どのような性質の頭痛か(ズキズキ痛むのか、締め付けられるように痛むのか―など)、頭痛に伴う症状(目の充血、鼻水、吐き気、目の見え方や耳の聞こえ方の異常など)があるかなど、症状を細かく聞き取ることから始めます。典型的な頭痛の症状の場合は、病歴を聞き取るだけで診断ができることもあります。
しかし、同時に2種類以上の頭痛が起きていたり、一次性頭痛に二次性頭痛が隠れていたりすることもあります。したがって医師は、まず病歴を確認し、二次性頭痛の可能性がないかをCTやMRIなどで調べます。
二次性頭痛を見つけたら、それを引き起こしている病気を治療します。時には命を脅かすような病気が見つかり、緊急手術を必要とすることもあります。
市販薬常用に注意
一次性頭痛は、一度の受診で診断がつくことは少なく、治療を行いながら、薬剤の効果、治療開始後の経過などを勘案して、頭痛の核心に迫っていきます。
一次性頭痛の治療では、適切な薬剤の選択が重要です。よく知られる片頭痛は、重い人では何日も寝込んでしまうこともありますが、適切な薬物治療を行うことで症状が劇的に改善し、予防薬によって頭痛発作の頻度の減少、発作の軽減ができます。
片頭痛は16人に1人に起きている―という調査結果があります。これは国内に800万人の患者さんがいて、毎日60万人が発作に悩まされている計算になります。適切な治療を受けずに市販薬を常用し続けると、かえって頭痛がひどくなる「薬剤乱用性頭痛」になる恐れもあるので、注意が必要です。
頑固な頭痛や市販薬で治らない頭痛に悩む人、家族に脳卒中になったことがある人は、専門医に相談することをお勧めします。
(2017年12月23日掲載)
脳神経外科部長、脳血管内治療科科長、脳卒中センター科長=専門は脳腫瘍、脳血管障害、脳神経外科、神経生理学的モニタリング