35回に及んだ今年1年間の山行の締めくくりに、12月中旬、カルチャーセンター「里山講座」講師の野崎公夫さんと下見を兼ね、塩尻市と辰野町境の霧訪山(1305メートル)に登った。
「霧が訪れる山」というロマンチックな山名に加え、信州のほぼ中央に位置するため、低山ながら山頂からの眺望が素晴らしい。近年は県外から訪れる登山者も多い。
冬場は西高東低の気圧配置になるため、北信は悪天候でも中南信や東信は晴天の日が多い。7時に長野市内を出発し、長野道を南下。安曇野に入ると、願ってもない好天となった。
塩尻インターで降り、国道153号線から下西条の集落へ入る。果樹園の中を抜け、山の神自然園へ向かう。その先が登山口だ。
霧訪山には10数年前、伊那市に住んでいたころ、辰野町側の小野コースから2回登ったことがあったが、塩尻市側の下西条コースは初めてだ。前夜、降ったのだろう。辺りは一面、うっすらと雪化粧している。
9時10分に登り始める。カラマツ林の中に急なジグザグ道が続く。30分ほどで送電線鉄塔の下に出た。ここで小休止し、快適な尾根歩きに。
間もなく「ブナの分かれ」と呼ぶ大芝山方面との分岐に着く。5月の連休のころ、大芝山の山頂付近はカタクリやニリンソウの群落が見事だという。
分岐を右折して少し行くと、ロープ伝いに直登する男坂とジグザグに登る女坂に分かれる急斜面に。女坂を進むが、雪はくるぶしほどにまでなり、アイゼンを持ってこなかったため、滑りやすくて難儀する。
登りきって稜線伝いに進むと頂上だ。いきなり360度の眺望が開ける。北アルプスや八ケ岳など高山は雲に隠れていたが、はるか遠くまで見渡すことができ、松本平や諏訪盆地、眼下の小野の集落など一望千里の趣だ。武田信玄がのろし台に使ったというのもうなずける。
山頂には方位盤や標柱、2等三角点、飾り付けられた石の祠などがあり、にぎやかだ。昔はなかった「夢が叶うう霧訪の鐘」なるものもあり、備え付けのハンマーでたたくと、澄んだ音を響かせた。
一画には、オキナグサの保護区域も。草全体に白く長い羽毛が生えるキンポウゲ科の多年草だ。絶やさないように、地元の人たちが大切に守っている。

1時間半で登れたため、11時過ぎには下山へ。山頂で野崎さんと別れ、私は登ってきた下西条コースを、野崎さんは小野コースを下る。
下山後、私が車を運転し、善知鳥峠を越えて野崎さんが待つ小野神社前へ。ここで合流し、時間に余裕があったので高速は使わず、国道19号経由で長野へ戻った。
(2017年12月23日掲載)
上=山頂から望む松本平
左=標柱や祠などが並ぶ山頂