120 胆のう結石 ~保有率は増加傾向 放置すると危険も

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 胆のうは、おなかの右上、肝臓の下に位置している臓器です。肝臓で作られ、脂肪を分解するのに必要な胆汁を蓄える役割をしています。

 胆のう結石(胆石症)は、胆のうの中に石ができてしまう病気です。庭などに落ちている石と違い、コレステロールなどを主成分としてで

きた石で、それほど硬いものではありません。日本人の胆石保有率は近年増加傾向にあり、5%程度とされています。

 胆のう結石ができやすい人は、40~50歳代、女性、肥満、多産などとされていますが、近年は男性も多くなってきています。そのほか、脂

質異常症、食生活習慣、急激なダイエットなども関係しています。

将来的に痛みも
 症状は腹痛、悪心、嘔吐など。腹痛は胆石発作と呼ばれ、特に脂肪分の多い食事を取った後に起こることがあります。

 症状のない人は、必ずしも手術をする必要はありません。手術せずに経過観察した場合、傷みなどの症状が出る人は、年2~4%と極めて少

ないからです。

 しかし、将来的に痛みを発症することがあります。その危険性が高いのは(1)小さな胆石が数多くできている人(2)胆のう管に胆石が詰まっ

ている人や、胆のうの働きが失われている人(3)若い人―とされます。ほかに、胆のう壁が厚い人は、がんの可能性もあり、放置すると危険な

場合があります。

 このような人は、症状がなくても治療した方がよい場合があるので、専門医に相談してください。

治療の方法
 症状がある場合は、治療をすることになります。治療の方法には、(1)手術(2)溶解療法(薬で石を溶かす方法)(3)ESWL(体外衝撃波結

石破砕療法=衝撃波で石を壊す方法)―があります。

 (2)にするか(3)にするかは、胆石の大きさと数、成分などによって判断されますが、治療が成功しても胆石が再度できてしまうリスクがあ

ります。

 (1)は現在、腹腔鏡で行うことが最も多くなっています。腹腔鏡下手術は、おなかに1センチ程度の穴を4カ所開け、ここからカメラと器具を

挿入して手術します。従来の開腹手術に比べると、傷が小さくて済み、体への負担が軽く、早期の社会復帰が可能です。

 人間ドックや健康診断で胆のう結石があると言われたら、まず専門医に相談してください。
(2018年1月20日掲載)
 
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