125 食物アレルギー ~重症だと命の危険も 正しい診断で治療を

 食物アレルギーとは、食べ物が原因で、免疫反応によって体に不利益な症状が誘発される現象をいいます。いくつかのタイプがありますが、一般には、原因となる食べ物を摂取してから2時間以内に現れる症状(即時型食物アレルギー)を指します。

 原因食物を食べてから30分以内に出現することが多く、ほとんどの患者にじんましん、かゆみといった皮膚症状がみられます。それ以外にも、呼吸器症状(鼻水、せき、ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸音)、粘膜症状(まぶたや唇が腫れる)、消化器症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛など)が現れます。

 最も重い症状に「アナフィラキシーショック」があります。息が苦しくなり、顔色や唇の色が悪くなります。血圧低下や意識障害が起こり、命を落とす危険がありますので、注意が必要です。

3大原因食品
 原因となる食品はさまざまですが、子どもに多いアレルギーの原因食物は卵、牛乳、小麦の3つです。これらの場合は、一般的に3歳までにおよそ半数、小学校入学までに約90%が耐性を獲得し、食べられるようになります。

 一方、これ以外の食品による食物アレルギーでは、生涯にわたって取り除き続けることが必要となる場合が少なくありません。

 即時型食物アレルギーの診断では、血液中の「IgE」という物質の濃度を調べ、アレルギー症状が起きる可能性を割り出します。検査が陽性でも食物アレルギーと診断されるものではなく、アレルギー症状が起きる可能性を示しているにすぎません。これと詳しい問診を組み合わせ、総合的に判断します。

 これらの情報で診断がつかない場合は、食物経口負荷試験を行います。原因食物を少しずつ、徐々に増やしながら食べてもらい、症状の出現を確認します。症状を誘発する危険があるため、医療機関で行うのが原則です。

除去は必要最小限に
 原因食物がはっきりしたら、耐性を獲得して食べられるようになるまで、食事から原因食物を除去します。しかし、子どもの体はいろいろな食べ物を食べることで大きくなりますので、除去は必要最小限にする必要があります。

 食物アレルギーの治療は、正しい診断に基づき、必要最小限の原因食物の除去をするのが基本です。医療機関にかかり、主治医や栄養士と相談しながら治療を進めていきましょう。


 救急科医長、救急センター医長、四肢外傷・機能再建センター医長=専門は小児科、救急科
 
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