記事カテゴリ:

春04 雪割草 ~季節を感じる日本の文化

0421yukiwari.jpg
 善光寺平を囲む里山。民家や田畑、果樹園脇の林の中で、芽吹き始めた木々の木漏れ日をいっぱいに浴びて、雪割草の小さな白い花が咲く。

 高さ10―15センチのキンポウゲ科の多年草。和名は三角の葉から由来する「ミスミソウ」が代表格だが、葉の形や大きさ、花に見える「がく」の数や色、形の違いから、オオミスミソウ、スハマソウ、オオスハマソウなどに分類される。

 漢字表記の「雪割草」が総称だが、「分け方は学説によりまちまちで複雑。はっきりと分けるのは難しい」と植物文化研究家の永井茂富さん(71)=長野市。植物研究仲間に紹介されて、40年間観察を続けているこの撮影場所のものは、スハマソウだという。県内各地に自生し、永井さんは「スハマソウが多い気がする」との見方を示す。

 多様に変化することから、山野草愛好家に人気の花だ。県版レッドリストでは「ミスミソウ」として絶滅危惧種指定だが、2014年の改訂でⅠB類からⅡ類にランクを下げた。「観賞、撮影による踏み付け、後を絶たない盗掘などで、全体に減っているのだが...」と、永井さんは首をかしげる。今春も東信の自生地で実際に掘り取られた穴を見たばかりだという。

 市民向けの植物講座を受け持つ永井さんは観察会前に、「群生する植物なので生育環境の保全が必要」と説明。踏み付けや採取、鉢植えなどの厳禁を徹底している。

 古来、イチリンソウ、フクジュソウなどを雪割草と呼ぶ地方もある。「季節を敏感に感じてきた歴史は日本独特の文化」という永井さんの言葉が、すとんと胸に落ちる。文化を支えてきた花が絶滅しないことを願いたい。

写真=10輪ほどの花を咲かせるスハマソウ。県内自生の花は白が多い=長野市近郊の里山で3月23日撮影
 
北信濃の動植物