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72 冬の上高地 ~白銀の穂高連峰が間近に

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 今年初めての山行として、絶好の天気に恵まれた3月下旬の土曜日、カルチャースクール「里山講座」の会員たちと冬の上高地を訪れた。里は春本番でも、大型連休前まで交通が閉ざされた上高地は、まだ冬の装いだ。

 7時に中型バスで長野市内を出発。長野道を松本インターで降り、国道158号線で釜トンネル入り口へ向かう。そこから先は歩くしかない。

 2005年に全通した今の釜トンネル(1310㍍)は冬場でも照明がある。昔の真っ暗で狭く、岩肌がむき出しだったトンネルに比べ快適だ。ただ、かなりの上り坂で風がないため、防寒着を着込んでいると、暑くてたまらない。

 それに、一般車は通行禁止でも、大正池のしゅんせつなど工事用車両は通行が許可されている。大型トラックがうなりを上げて走ってくるたびに、狭い歩道を歩かざるを得ない。
 トンネルを抜けたかと思うと、2016年に開通したばかりの上高地トンネル(588㍍)に入る。ここを抜けると、程なく大正池だ。手前の道路が雪崩でふさがれていたため、雪の中を池の端まで降りてう回する。
 ここまで来ると、池の向こうに真っ青な空をバックに白銀の穂高連峰が目に飛び込んでくる。反対側には、焼岳が大きな姿を見せる。頂上から、わずかに噴煙が上がっている。

 大正池からは、積雪が1メートル以上もある木道上を通って田代池に向かう。まだ雪が締まっているので歩けるが、雪解けが進めば歩くのは大変だろう。

 今は渇水期のため、大正池も田代池も池というより川のようだ。それでも水は澄んでいて、雪原の中を漂う清流が心を和ませてくれる。梓川に架かる田代橋を渡る時、上から見下ろすと、20センチはあるイワナが悠々と泳いでいた。

 梓川の右岸をさかのぼり、ウエストン碑を過ぎた先の堤防道路上で昼食にする。この辺は日当たりがよいので、アスファルト上に雪が無い。

 昼食後、河童橋を渡る。橋の上の絶景ポイントで、正面の奥穂高岳、左手の西穂高岳、右手の前穂高岳と明神岳の姿を、しっかりと目に焼き付けておく。

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 開山祭から閉山祭まで、多くの登山客や観光客でにぎわうバスターミナルも閉鎖されたままだ。
 帰路はバス道路をひたすら歩く。往路と同じように雪崩現場をう回し、二つのトンネル内を工事車両に注意しながら下る。バスが待つ釜トンネル出口で歩数計を見ると、2万3千歩を記録していた。

 山と違ってアップダウンは少ないものの、よく歩いた一日だった。
(2018年4月7日掲載)

上=大正池に映る白銀の穂高連峰

下=長いトンネルを抜けて上高地へ
 
中高年の山ある記