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25 覚悟 ~駒沢前進の旗振りに 「平常心是道」を銘じ

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 2003年9月21日、私こと大愚魯参柳原寺16世の晋山(新住職のお披露目)式と、長男の副住職秀真首座法戦(一人前の僧侶認定)式を行いました。
 檀信徒の方々の力強い支援を受け、また全国から知己の僧侶が集い、お祝いしていただきました。当日は早朝から雨で、町内を練り歩く稚児行列は中止になり、保護者から落胆の声が聞かれました。

 豊野町が05年に長野市と合併し、それまでのように豊野区で柳原寺を村寺としてバックアップすることができなくなりました。このため、同年4月8日、檀信徒で柳原寺護持会を結成し、寺の諸事業は護持会が後援することになりました。

伝統の意義を再認識
 09年4月、駒沢大学禅文化歴史博物館館長(任期2年)に就任。同年6月、曹洞宗総合研究センター所長就任(約4年)。10年1月から5年半、「曹洞宗報」に「伝光録・さらなる宗旨の展開」(全66回)を執筆しました。

 駒大を12年3月に定年退職し、同大名誉教授。同年6月から大本山総持寺伝光会摂心講師。13年4月、学校法人駒沢大学30代総長に就任。17年4月に再任、現在に至っています。

 「伝光録」は、石川県能登に総持寺(祖院、明治末期に現横浜市鶴見区に移転)を開創した瑩山紹瑾禅師(太祖)が、1300年正月から金沢大乗寺で高弟を前に提唱した記録です。道元禅師(高祖)の宗門が釈尊に始まり、インド・中国を経て、道元、懐弉まで伝来した経緯を説いています。

 曹洞宗の宗旨は一仏両祖(釈尊と道元・瑩山)の教えを総体的に学ばないと十分ではありません。最近は瑩山禅師の研究も盛んになっています。

 駒沢大学は1592(文禄元)年に吉祥寺(現東京都千代田区)に設立した学林(栴檀林)に始まります。1882(明治15)年10月15日に港区に移転し曹洞宗大学林に改称。この日を開校記念日として、今年で136年。開学130年を記念し新校舎を建設しました。現在の世田谷に移転したのは105年前の1913(大正2)年です。

 伝統は一日ではつくれません。これまで多くの先人たちが築き上げてきた駒沢大学の学統をさびつかせることはできません。学生、教職員が本学の伝統の意義を再認識し、新しい時代に向けて力強く前進していかなければなりません。私は30代総長としてその旗振り役を果たす覚悟です。

故郷の大地に
 私を産み育ててくれた豊野の、長野の山川草木は私の人生そのもの。まさに尽十方界真実人体です。もちろん柳原寺裏山の墓地は、私のついのすみかとなるはず。日頃見慣れた善光寺平の連山の景色に抱かれ、故郷の大地に融けるのが本懐です。

 言い尽くせぬ交誼を頂いた大切な人たちが、あの世で迎えてくれる日もそう遠くはありません。釈尊の言葉通り、この世は美しく、人の命は甘美なものです。

 歳々に我が悲しみは深くして いよよ華やぐ命なりけり
(岡本かの子)

 残された歳月が「日々是好日」と過ごせるよう、「平常心是道」と肝に銘じ、悔いのない日送りをしたいと願っています。

 最後に読者の皆さまに心からお礼申し上げます。これからもどうぞお大事にお過ごしください。珍重
(聞き書き・船崎邦洋)
 池田魯参さんの項おわり

(2018年4月28日掲載)

写真=晋山式に集まってくれた稚児たちと(2003年9月21日)
 
池田魯参さん