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125サンマルコ大聖堂 ~豪華絢爛な内陣に息をのむ

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 ベネチアのサンマルコ広場の真正面にそびえ立つきらびやかなロマネスク・ビザンチン様式の聖堂が、サンマルコ大聖堂だ。最初は9世紀に建てられた。旧約聖書の4人の福音書記者の一人マルコをまつっている。

 話は828年、イスラム教徒が支配するエジプトのアレクサンドリアに始まる。ブオーノとルステコというベネチア商人が、聖マルコの遺体の発見を知って、祖国ベネチアに運び出すことを決意した。

 2人は、感づかれないようにと考えた末、イスラム教徒が忌み嫌う豚肉の薫製が入った箱に収めて目を逃れた。無事に祖国に持ち帰ったことから、聖堂を建てる機運が高まって、わずか4年で完成させた。

 黄金の装飾で彩られた入り口正面もさることながら、内陣も息をのむ豪華絢爛さだ。いつも観光客でにぎわい、日本からのツアー客も途切れることはない。「わあー」というため息交じりの言葉が聞こえてくる。

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 壁面や天井を飾る金色がまばゆい。ビザンチン美術の粋を集めたモザイク画は、2枚のガラス板の間にテッセラという金箔の切片を不規則に並べることにより、乱反射させている。本堂の洗礼堂にあるモザイク画「洗礼者ヨハネ」は、ヘロデ王にヨハネの首を所望した悪女伝説のサロメが妖しく踊る。

 人気の黄金のついたては、12世紀に第4次十字軍が戦利品として持ち帰った宝物だ。奥の祭壇の下に聖マルコの遺体が眠っている。

 正面入り口上のベランダに、4頭のブロンズの馬を目視できる。ただ、これはレプリカで、本物は寺院内部2階の付属博物館にある。紀元前3世紀、ヘレニズム時代のギリシャで作られた傑作。ナポレオンが気に入り、パリのルーブル美術館前にあるカルーゼルの(凱)(がい)(旋)(せん)門の上部に飾ってあった。

 ナポレオン失脚と共にベネチアに返却されたという受難の歴史が刻まれている。
(2018年6月16日掲載)


写真上=緻密なデザインが施され、バルコニーも備えたサンマルコ大聖堂
下=ドーム型の屋根が美しい大聖堂
 
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