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076 神奈山 ~多彩な初夏の花々を堪能 

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 梅雨入り後の晴れ間を選んで6月上旬の平日、山仲間と2人で新潟県妙高市の神奈山(かんなさん)(1909メートル)に登った。妙高山(2454メートル)の北側の外輪山だ。この時季は花の多さで知られる。

 7時半に長野市内を出発。旧北国街道を走り、飯綱町で国道18号に出て県境を越える。妙高市の関温泉に向かうと、正面に神奈山が。天気はいいのに、山頂部は雲の中だ。

 関温泉スキー学校前に車を止める。ここから1時間ほどはゲレンデ歩きだ。照りつける日差しを浴びながら、汗だくになって急斜面を登る。

 最上部のリフト降り場で一休み。正面に斑尾山、その右手には野尻湖が見える。だが、間近に見えるはずの妙高山はガスに覆われ、何も見えない。

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 その先に登山口の標識があり、ブナ林に入る。しばらく行くと、ツバメオモトの群生が現れた。艶やかな数枚の葉の中央から、すっと伸びた茎の先にかれんな白い花が幾つも咲いている。

 やぶの中には、真っ赤なユキツバキの花がまだ咲いていた。さらに進むと、大きな葉の上に小さな花が固まりになって咲くサンカヨウが。続いて、シラネアオイが現れてきた。薄い青紫の大きな花は気品を感じさせる。

 登るにつれて、至る所にシラネアオイが群生している。近年、盗掘による減少が問題になっているが、これほどこの花が多い山は珍しいだろう。

 花に見とれながら歩いていると、雪渓が解けたぬかるみ地帯に差し掛かった。しかも、かなりの急斜面だ。足を滑らせたら泥だらけになるので、慎重に足を運ぶ。

 ほぼ中間点に「大ブナ林 1450メートル」の道標があり、二抱えもあるような巨木が立つ。周囲には、ガスが巻く中にブナの木が黒いシルエットとなって浮かび上がり、幻想的な風景が広がる。

 上部にはイワカガミの濃いピンクの花の群生が見られ、ツマトリソウの白く小さな星形の花も目立つ。

 「八方睨 1679メートル」の道標を過ぎ、山頂直下では、タカネザクラ(ミネザクラ)の花が満開だった。

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 標高差千メートルを3時間半で頂上に。少し先の見晴らしのよい場所で昼食にする。眼下に赤倉のホテルや妙高市街地を見下ろし、野尻湖の向こうには遠く中野・須坂方面まで見通せた。

 帰路、八方睨でようやく間近に迫る妙高山の一部を望む。山頂部は依然として雲の中だが、沢筋にはまだ多くの雪が残っていた。
 下山後、関温泉上部の燕温泉まで行き、無料の野天風呂で汗を流し、長野に戻る。初夏の花々を堪能した一日だった。
(横前公行)
(2018年6月16日掲載)

写真=ガスの中から一部を見せた妙高山
 
中高年の山ある記