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夏05 ユキグニコルリクワガタ ~豪雪地のブナ林で育つ新種

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 雪解けも終わりに近い6月中旬、信越トレイル沿いの栄村野々海池。背丈ほどのブナの木の新芽を探すと、体長1センチ前後と小さなユキグニコルリクワガタがいた。

 クワガタムシだが、背面は金属的な赤銅色や緑、黒、藍色などのほか、中間色もあり変化に富む。1883年に英国の昆虫研究家が御嶽山などで採取し、「ルリクワガタ」として記載したのが始まりだ。

 長い間、一くくりだったが、1969年に別種「コルリクワガタ」として分類。その後、分類の細分化が進み、2008年にユキグニコルリクワガタが新種として登場した。国内の生育地は中部地方以北、日本海側の豪雪地帯。県内では、信越トレイル沿いや志賀高原、戸隠、雨飾山一帯など、県北部のブナ林が主な場所だ。

 成虫が集まってくるのは主にブナの木。それも樹齢を重ねた大木ではなく、ヒコバエや高さ1~2メートルほどの幼木の新芽だけ。柔らかく、栄養豊富で毒性が低い新芽の元の部分を、潜るようにして食べて体を作り、交尾、朽ち木に産卵。かえった幼虫は3齢で越冬し、翌年秋に成虫になり2年目の冬を越す。

 そして3年目の初夏、ブナの木の新芽が成虫の唯一の出あいの舞台になる。期間は1カ月ほどと短く、繁殖の役目を終えた成虫は一生を終える。

 長野県甲虫研究会会長の平沢伴明さん(61)=安曇野市=は、2004年刊行の県版レッドリスト策定委員でコウチュウ目を担当。関田山脈一帯の調査では、捕獲容器にユキグニコルリクワガタも時々入っていたという。当時は、新種として登場する前で、自宅に保管してある標本ラベルには「コルリクワガタ」と記した。

(2018年7月14日掲載)

 
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