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127 カーニバル ~仮装で楽しむ奇祭の熱気

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 人々が仮装をして楽しむイタリアのベネチア・カーニバルは、奇祭の一つとして世界で知られている。復活祭前の40日間(四旬節)直前の10日間、2月に開催。私も居合わせることができた。マスケラ(仮面)を着けて仮装した人たちが、サンマルコ広場で踊りやパフォーマンスをしていた。

 カーニバルは中世から盛んになった。貴族など特権階級の催しだったが、庶民も仮装をすれば参加が認められたことから、広まった。海外からの参加もあり、華々しさは18世紀に頂点に達した。今の衣装はこのころを継承している。

 だが、交易で繁栄したベネチアは、各地のライバルが次々と現れたため、衰退の一途。それとともにカーニバルも廃れていった。復活したのは1980年ころのことだ。
 カーニバルの時期、ベネチアの路地を歩くと、不意に仮面の工房に出くわす。メインストリートの土産物店にはいつも人だかり。私も一つ選ぶのに苦労の末、黒を基調にしたシックな仮面を土産に選んだ。

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 仮面は粘土で顔を作り、石こうを流し込む。固まってできた型に、ニカワに浸した紙を内側に貼り付ける。その上にガーゼを添えると、数日で取り外せる。そこに絵付け。しっくいを吹き付けて乾かし、紙やすりで研磨して完成だ。

 模様だけでなく、仮面にはさまざまな特色がある。顔の上半分が覆われ、飲食ができるバウータや、女装する男性用のニャーガ。名前はネコの顔に由来する。女性用のモレータ、道化のアルレッキーノ、棒が付いていて手で支える目だけの仮面もある。

 面白いのは、長い鼻が付いている医者用の白い仮面だ。ペスト患者からの感染から防ぐ目的で鼻が長くなっている。白いカラスのようだ。

 仮面は、こうした伝統的な物からファッショナブルな物までが流通して今日に至っている。カーニバルの間は、フェースペインティングをして仲間入りする観光客もいる。レンタルの仮装衣装も着られる。大阪から来たという還暦前後の夫妻は「日本では若者の間でコスプレが流行しているけれど、私たちの世代は上品に気取ってみたいからこちらの方がいい」と話してくれた。

(2018年7月7日掲載)

写真上=仮面も着けて仮装
写真下=フェースペインティングで楽しむ
 
ヨーロッパ美の旅