
「骨粗しょう症」は、骨の強度が低くなり、もろくなる病気です。高齢者に多いのが特徴で、骨粗しょう症になると、つまずいて手をついたり、くしゃみをしたりというわずかな衝撃で、骨折してしまうことがあります。
骨折しやすい部位は、背骨(胸椎、腰椎)、脚の付け根(大腿(だいたい)骨近位部)、手首(橈骨(とうこつ))、腕の付け根(上腕骨)です。特に高齢者が大腿骨を骨折すると、寝たきりになる確率が高いとされています。
骨粗しょう症では、食事管理、薬物治療、運動療法が予防の3本柱とされています。運動療法はその一つとして重要です。骨粗しょう症にならないために、自宅で気軽にできる運動を紹介しましょう。
(1)開眼片脚立ち
片方の脚に負荷をかけることで、脚の骨や筋肉を丈夫にできます。バランス感覚が鍛えられ、転倒予防にもつながります。
・目を開け、片足を床から少し浮く程度に上げます。
・転倒しないように、何かにつかまりながら行いましょう。
・左右の脚で1分間ずつ、1日3回。
(2)スクワット
太ももの筋肉を鍛えます。
・両足を肩幅より少し広く開いて立った状態から、息を吐きながらしゃがみ、息を吸いながらゆっくり元の姿勢に戻ります。
・しゃがむときは、膝が爪先より前に出ないように(膝の角度が90度より深くならないように)します。
・不安定な場合は、転倒しないように椅子などにつかまりながら。5回を1日に3セット。
(3)背筋訓練
背筋を強化することは、背骨の骨折予防と、背骨の形や立ったときのバランスを維持するために重要です。
〈うつぶせで行う場合〉
・うつぶせになれる人のみ行ってください。
・胸の下に枕を入れ、息を吐きながら頭を持ち上げ、5秒程度そのままの状態を続けます。5回を1日3セット。
〈腰かけて行う場合〉
・ソファなどの安定した椅子に座り、両手を頭の後ろで組み、息を吐きながら5秒程度背骨を伸ばします。5回を1日3セット。
日常生活で運動を
「わざわざ運動するのは大変」という人もいるでしょう。洗濯や掃除をこまめにしたり、買い物で歩いたりするのも立派な運動です。自分の体力に合った運動を、無理のない範囲で始めてみてください。
渡邉 友彦=リハビリテーション科主任=理学療法士