
梅雨の晴れ間となった6月中旬の日曜日、山仲間3人で志賀高原の赤石山(2108メートル)に登った。志賀高原の中でも、訪れる人の少ない自然を保った山だ。
前日のタケノコ採りで泊まった蓮池のホテルを、8時半に車2台で出発。1台は大沼池入り口の駐車場に置き、もう1台で高天ケ原(たかまがはら)スキー場へ。ここから夏山リフトに乗って東館山高山植物園まで行く予定だったが、あいにくリフトは運休中。仕方なく発哺(ほっぽ)温泉からゴンドラリフトに乗ることにした。
われわれの前には、ヘルメットから手ぬぐいを垂らし、革のリュックサックに革のスパッツといういでたちのタケノコ採りのプロたちが乗車。シーズン最盛期とあって、ゴンドラを使って奥地に入るのだろう。
標高2千メートルの山頂駅でゴンドラを降り、高山植物園の中を通って寺子屋山(2125メートル)へ向かう。ゲレンデを登り詰めたところで振り返ると、残雪の北アルプスの眺めが素晴らしい。

ここから上は、うっそうとしたモミやコメツガの林の中。丸太を渡した階段状の急坂が続く。時折現れるイワカガミのピンクの花が、疲れを癒やしてくれる。
山頂で一休みした後、ほどなく岩菅(いわすげ)山(2295㍍)へのコースと分岐する金山沢(かなやまざわ)ノ頭(かしら)に。右折して赤石山へ向かう。アップダウンが連続する尾根歩きだ。
登山道の両側には、2メートルを超すネマガリダケが密生。道路脇だけでなく、道の中にも「採ってください」と言わんばかりにタケノコが生えている。
プロたちもここまでは入らないのか。昨年採られなかったタケノコは大きな笹竹に育ち、歩くのに邪魔になる。
竹やぶが開けた場所から東側に、頭を雲の上に出した富士山が。その左手には浅間連山も。道は次第に荒れ、雨天時には川と化すため、所々えぐれている。粘土質のため滑りやすく、難儀する。
頂上直下で西側に視界が開け、眼下にコバルトブルーの大沼池が姿を見せた。左側の岩壁には、アズマシャクナゲの薄いピンク色の花が咲いている。

山頂部の重なり合った岩の上で、色とりどりの緑に包まれた大沼池を見下ろしながら昼食。そのうちに、われわれとは反対方向から1人でやって来た若い女性が合流。下山時に、山頂に立つ彼女の写真を撮らせてもらう。
下りは、階段状の急坂をまっすぐ大沼池へ。全部採られてしまっているのか、こちら側の道脇にはタケノコが見当たらない。
水辺で休んだ後、平たんな林道をだらだら歩き、大沼池入り口へ。近くの清水公園に立ち寄り、冷たい「志賀の源水」でのどを潤した。
(横前公行)
(2018年6月30日掲載)
上=山頂から見下ろすコバルトブルーの大沼池
下=岩が重なり合う赤石山山頂