
長野駅から直江津駅(新潟県上越市)へは、しなの鉄道とえちごトキめき鉄道を乗り継ぎ、1時間50分ほど。ホームにはさまざまな色の車両が並ぶ。新幹線の金沢延伸に伴う在来線の経営分離で、2015年にJRからトキてつの駅になり、南と西へ同社路線が運行。さらに新潟方面へ向かうJR信越線、六日町方面への北越急行(ほくほく線)が乗り入れている。
直江津は、奈良時代に国府が置かれてから、越後の中心地だった。上杉謙信の時代には、京都に次ぐ大都市だったという。江戸時代には北前船の寄港地としても栄えた。
直江津港は、駅から1・5キロ北東の関川河口にある。客船は06年まで北海道や九州へも出ていたが、今は佐渡の小木港行きだけが1日2便。広くがらんとした旅客ターミナルが、多くの客でにぎわった往時を想像させる。
一方、物流は盛んで、エネルギー拠点としても存在感を増している。港内にはこの10年ほどで、国際石油開発帝石の液化天然ガス基地と中部電力の上越火力発電所が相次いで開所。いずれも長野地域にも供給し、私たちの生活を支えている。
駅前から雁木造りの商店街=写真右=を抜け、上越市立水族博物館へ向かう。6月に建て替えオープンし、「うみがたり」の愛称が付いた。3万8千の日本海の生き物が泳ぐ巨大水槽や、通年で行うイルカショー、間近で見られるマゼランペンギンミュージアムが目玉。アトラクション施設としての色が濃くなった印象だ。
水族館から少し西へ歩いた住宅街に、十念寺がある=写真下。門柱に「信州善光寺大本願別院」とあり、別名浜善光寺。平安時代から善光寺と縁があり、川中島の戦いの時には、謙信が長野から仏像を持ち帰って安置したという。本堂正面には、一条智光先代上人が書いた「浜善光寺」の額がかかる。
さらに西へ行くと、海辺に「親鸞聖人上陸の地」の展望台がある。鎌倉時代、「専修念仏」の教えが弾圧され、ここに配流された。近くの五智国分寺境内には、親鸞が住んだ草庵や親鸞の像がある。
毎年7月、直江津と高田で祇園祭があり、合わせて「上越まつり」と呼ぶ。みこしが直江津の八坂神社から高田へ出張して街を巡り、直江津へ戻る。これは江戸時代初め、高田藩主松平忠輝が高田城を築くため直江津の武士や町民、寺社を高田に移した際、八坂神社は願い出て直江津にとどまったため、高田へ移った人々が祇園祭を高田でも行ってほしいと熱望したからという。まつりは23日(月)から29日(日)まで行われる。
(竹内大介)
(2018年7月14日掲載)