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078 根子岳 ~菅平見下ろし花を楽しむ

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 梅雨明け後に続いた長雨が上がるのを待って7月中旬の平日、山仲間の先輩と2人で菅平高原の根子岳(2207メートル)に登った。善光寺平から南東に仰ぎ見る山だ。

 8時に長野市内を出発。須坂市から国道406号を上田へ向かい、峰の原高原入り口を東へ入る。ペンション地区を進み、旧須坂青年の家の前に車を置く。

 建物裏手の道を右へ進む。これが北国街道や中山道の脇往還として上州への近道だった大笹街道だ。路傍の石仏や土手道が今も残る。

 牧場に突き当たると無人の料金所があり、協力費200円を箱に入れる。右手に広々とした牧場を眺めながら、柵に沿って登り始める。道は雨が降れば川と化すため、岩がゴロゴロしていて歩きにくい。

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 それでも、道端に次々と花が現れ、楽しませてくれる。この時季に一番多いのは濃い紫色のウツボグサだ。薄ピンクのハクサンフウロやイブキジャコウソウも。上部にはエーデルワイスに似たウスユキソウも多い。根子岳が「花の百名山」とされるのもうなずける。

 牧場の最上部を過ぎ、かまぼこ型屋根の避難小屋の上部で写真を撮っている人がいた。誰かと思えば、本紙に「動植物をたずねて」を連載している旧知の元信濃毎日新聞写真部長の増田今雄さん。ミヤマモンキチョウの取材に訪れていた。

 しばしチョウ談義をした後、さらに上部の小根子岳(2128メートル)を目指す。刈り払われたササの茎が靴底を押し上げ、この辺も歩きにくい。

 分岐から100メートルほどで小根子岳の山頂だ。板状節理の岩の上から360度の眺望が広がる。根子岳とその先の四阿山(2354メートル)はすぐそこだ。北西に長野市街地も見える。

 分岐に戻って頂上に登り詰めると、学校登山で訪れた東京都葛飾区の中学生で大にぎわいだ。午後には雷雨の予報が出ていたため、急いで昼食を取り、牧場コースを下る。180人もの中学生を追い越すのに手間どる。

 眺めのよいあずまやで休憩した後、下山口へ。普通ならここで登山は終わりなのだが、旧青年の家まで車を取りに行かねばならない。

 料金所で地図をもらい、ゴルフ場から出てきたおじさんに近道を尋ねると、「ダボスの丘を越えるのがいい」と言う。そのとおりに進み、峰の原入り口からうんざりするほど遠い道を歩いていると、後ろから走って来た車に「乗れ」と声を掛けられた。

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 誰かと思ったら、道を教えてくれたおじさんだ。「心配になったので来た」と言う。「地獄に仏」とはこのこと。大感謝し、送っていただいた。出会いの多い山行だった。
(横前公行)
(2018年7月21日掲載)

写真上=中学生でにぎわう山頂
写真下=小根子岳の頂上から望む根子岳山頂
 
中高年の山ある記