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079 立山連山 ~暑さ忘れ快適に尾根歩き

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 夏山最盛期の8月上旬の平日、1泊2日の日程で立山連山を縦走し、剣岳(2999メートル)に登った。初日は下界の暑さを忘れ、室堂周辺に点在する雪田を見下ろし、快適な尾根歩きを楽しんだ。

 5時に友人の車で長野市内の自宅を出発。ほかの仲間3人と落ち合いながら、大町市の扇沢駅へ。7時半始発のトロリーバスに乗り、立山黒部アルペンルートで富山県の室堂に。

 登山届を出してターミナルの外へ出ると、真っ青な空をバックに立山連山が目に飛び込んできた。9時過ぎに歩き始める。

 室堂は富山最大の観光地とあって、道路は石と石の間をコンクリートで固めてあり、歩きやすい。途中に、日本最古の山小屋「立山室堂山荘」がある。主峰・雄(山(3003メートル)は、死者に会える山として信仰を集め、富士山、白山と共に「日本三霊山」とされる。

 真夏というのに、まだ残る雪渓を何度か横切る。雪解け跡に咲くチングルマやキンポウゲの黄色い花々が美しい。登り詰めると、最初の休憩地・一ノ(越)(こし)に。山荘への荷揚げのヘリコプターの爆音が響く。

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 ここから雄山へ急登が始まる。列をつくる登山者には、学校登山の子どもも多い。富山では「男子16歳にして立山に登らざれば、一人前にあらず」との言い伝えがある。

 雄山の山頂部には宮司や巫女が寝泊まりできる社務所があり、一段高い岩峰上に立山信仰の総本宮・雄山神社の峰本社が立つ。参拝は有料(大人500円、子ども200円)だ。

 混雑する雄山を後に、次の大汝山(3015メートル)へ向かう。ここからは登山者の世界だ。「立山」という山頂はなく、大汝山が最高峰だ。高さ2メートルほどの岩の上に登って写真を撮り合う。

 休憩所の脇で昼食に。付近には、群青色のイワギキョウに対比するかのように、薄黄色のトウヤクリンドウがたくさん咲いていた。

 岩が重なり合う富士ノ折立(2999メートル)はう回し、真砂岳(2861メートル)へ。ここも山頂には登らず、さらに先の別山(2880メートル)を目指す。
 この辺の稜線歩きは気持ちがいい。右に黒部谷や後立山連峰を望み、左には今も火山ガスを噴き上げる地獄谷や、雷鳥沢のキャンプ場を見下ろす。
 別山の手前で初めて、翌日登る剣岳(2999メートル)の頭が稜線上に現れた。分岐から下り、剣沢小屋の水場で顔を洗う。手が切れるような冷たさだ。

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 程なく今夜の宿・剣山荘に到着。周辺には雪渓が多く、水は豊富だ。シャワーを浴びることができたのは何よりだった。
(横前公行)
(2018年8月18日掲載)

写真上=みくりが池に姿を映す立山連山(右から雄山、大汝山、富士ノ折立)
下=雄山の山頂に立つ雄山神社峰本社
 
中高年の山ある記