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2018年秋01 トガクシコゴメグサ ~凜と咲く小さな白い花

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 長雨が小休止した9月11日、トガクシコゴメグサに会いに、戸隠山へ登った。樹林帯を抜けて、急峻な岩場が連続する登山道脇の草地に7株、高さ14センチほどの茎が、枝分かれした先端に、凜とした小さな白い花が咲いていた。

 コゴメグサの仲間はゴマノハグサ科の1年草だ。白い花が米粒のように小さいことから小米(こごめ)と和名が付く。亜高山から高山に生育する高山植物で、ミヤマコゴメグサやキュウシュウコゴメグサなど、生育場所や形状などから分類されており、県内には7種が分布する。

 トガクシコゴメグサはミヤマコゴメグサの変種とされる。ミヤマは北アルプスを中心に四国、九州まで分布し、地域ごとに花や葉の形状が少しずつ違い、判別の難しい植物とされる。トガクシは草丈が高く、葉の先端が鋭くとがるなどが特徴で、戸隠山のほか飯縄山、浅間山にも分布する。自生地は限定され、県版レッドリストで準絶滅危惧種指定の希少種だ。

 中央アルプスには、花の長さが仲間のうち最小、ランクIB類のコケコゴメグサが生育する。和名は、米粒より小さいコケに由来。2008年夏に、地元の植物研究家から詳細な地図や情報を基に入山した。すぐに見つかるだろうと高をくくっていたけれども、登山道を何回も往復して目を皿のように探したものの、見当たらない。

 ひとまず休憩と岩場に腰を下ろすと、目の前のコケモモの間から顔を出す4~5ミリの小さな花を見つけた。

 トガクシも花の長さは9ミリ。撮影した生育地は登山道整備で除草されたのか、8月下旬に20センチほどあったという株はなし。刈り取りを免れた株は草丈14センチほど、地をはうようにして、途中から上に枝を伸ばし生き延びていた。
(2018年9月22日掲載)

写真=茎が途中で数本に枝分かれし、先端に9㍉ほどの小さな花を付けたトガクシコゴメグサ=戸隠山で9月11日撮影
 
北信濃の動植物