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080 頸城駒ケ岳 ~樹林の中に連続する急登

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 9月上旬、山仲間の誘いで新潟県糸魚川市の頸城駒ケ岳(1487メートル)に登った。小谷村から新潟県に入り、右手にそびえる海谷山塊(うみたにさんかい)の代表的な山だが、この一帯を訪れるのは初めてだ。

 7時に長野市内を出発。五輪道路で白馬村に入り、国道148号を北上。小谷村から糸魚川市に抜け、根知谷に向かう。正面に日本百名山の雨飾山(1963メートル)。その左手にテーブルマウンテンのような山容の頸城駒ケ岳がそびえる。

 登山口の海谷三峡パーク駐車場に到着。整備されたキャンプ場で、眼前に千丈ケ岳の大岩壁がそそり立つ。この奥の海谷渓谷は紅葉が素晴らしいようだ。

 9時45分に登り始める。少し進むと、北側が開け、姫川が日本海に注ぐ眺望が美しい。間もなくしゃれた民間運営のロッジが現れ、その先から本格的な登山道に入る。

 谷筋の岩の上を30分ほど歩き、右手の樹林帯に入る。急な上りの始まりだ。崖に架かる高さ5~6メートルのアルミ製のはしごを登り切ると、すぐに険しいロープ場が待っている。

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 その先も急登の連続だ。前日の雨で土や石が滑るため、至る所に設置されたロープに頼らざるを得ない。中には、崖から張り出した木の根に付着している土の上を歩く箇所も。

 第2のはしご場は、縄ばしごだ。一歩一歩登るたびに、足元が揺れる。突起のある岩壁に架かるため、固定できないようだ。

 途中のテラスで休憩。青紫のリンドウの花が咲き、つやつやしたオオイワカガミや新潟らしいユキツバキの葉が多いことに気付く。

 小休止の後も急登が続く。しばらくすると、水音が聞こえる。付近は一抱えもある立派なブナ林に変わり、「ブナの泉」と名付けられた湧き水がある。

 この先でようやく急登は終わり、尾根道に。山頂が近づくと、早くもウルシやツツジ類、ナナカマドなどの紅葉が始まっていた。根知谷からのコースと合流すると、すぐ頂上だ。

 山頂には小さな石の祠が祭られ、東南側に180度の眺望が開ける。ちょうど長野県側の裏手に当たる雨飾山が眼前にそびえ、山頂部が雲に隠れた焼山の姿も。

 稜線からは、初心者立ち入り禁止の鬼ケ面山や鋸岳が続く。残念ながら北西側は樹林に覆われ、日本海は見えない。上りに思いのほか時間がかかったため、昼食もそこそこに下りに入る。

 これがまた大変だった。一度はロープ場を20メートルほど下り過ぎた。間違いに気付き、上に登ろうとしても足が滑り、あり地獄にはまったようだ。一瞬、「遭難」の文字が頭をよぎる。木の根や枝をつかみ、何とかはい登ったが、里山も侮れないことを思い知った。
     (横前公行)
(2018年9月22日掲載)

写真上=山頂から間近に望む雨飾山
写真下=急登が続く登山道には急なはしご場も
 
中高年の山ある記