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081 糸魚川 戸倉山 ~塩の道を歩き眺望の山頂へ

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 9月末の長雨が上がる日を待ち、長野県カルチャーセンター「里山講座」講師の野崎公夫さんと新潟県糸魚川市の戸倉山(976メートル)に登った。

 月初めに訪れた近くの頸城駒ケ岳(1487メートル)が、会員を案内するには危険を伴うので、目的地を変更するための下見だった。戸倉山は、同市がヘルシートレッキングの場として推奨している。

 7時に長野市内を出発。五輪道路で白馬村に入り、国道148号を北上。小谷村から県境を越え、糸魚川市の根知谷を再び長野県方向にさかのぼる。

 登山口の「雨飾山麓しろ池の森 原の館」に9時半ごろ到着。「熊出没注意」の看板があり、熊よけの鈴を着けて歩き始める。程なくあずまやが現れ、姫川が日本海に注ぐ風景に目を奪われる。

 登山道はしばらく「塩の道」と重なる。かつて糸魚川から松本へ塩や海産物を運んだ歴史の道だ。

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 20分ほどで白池(しろいけ)に。名前のとおり、白っぽい水面に雨飾山や鋸岳、鬼ケ面(おにがつら)山、頸城駒ケ岳など海谷山塊(うみたにさんかい)の山々が映り込んでいる。池の脇には諏訪社の石の祠(ほこら)があり、「右大網峠 左山口」の道標が立つ。

 うっそうとした杉木立の中の塩の道をさらに進むと、もう一つの角間池に。付近はくぼ地になっていて、雨水がたまっているのか、周辺の斜面から水が染み出しているためか、透明度が高い。

 ここで休憩した後、登山道は小谷村の大網峠へ向かう塩の道と分かれ、山頂へ向かう。周囲は見事なブナ林だ。頭上では黄葉が始まり、足元には薄紫のノコンギクなど秋の花が咲く。食用かどうか不明のキノコを幾つも目にし、トチの実も落ちている。すっかり秋の装いだ。

 尾根に出て、たっぷり汗をかきながら急な斜面を登り詰めると、山頂に。周囲に立ち木はなく、360度の展望が開ける。あいにく、南西方向の北アルプスと、朝方は見えていた北東側の雨飾山や海谷山塊の山々は、頂が雲に隠れている。

 それでも、西側の明星山(みょうじょうさん)(1189メートル)の大岩壁と、北側の日本海や糸魚川の町並みはよく見える。周囲の山々に雲がかかっていなければ、素晴らしい眺めだろう。

 山頂で昼食を取り、12時前に下山へ。登ってきた道を1時間ほどで登山口の原の館まで下った。

 帰路は、麓のシーサイドバレースキー場にある塩の道温泉で汗を流し、塩の道資料館を見学。さらに姫川の支流、小滝(こたき)川上流のヒスイ峡まで足を延ばし、ロッククライミングで知られる明星山の南壁を直下から仰ぎ見た。高さ500メートル近い大岩壁は、戸倉山の上から見たのとはまた違って大迫力だった。
(横前公行)
(2018年10月13日掲載)


写真上=山頂から西側に見える明星山の大岩壁

写真下=雨飾山や海谷山塊の山々を背後に望む白池
 
中高年の山ある記