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135 ジョット ~ルネサンスの先駆けで活躍

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 「ルネサンスびいき」の私が個人的に、ほかの人の西洋美術の知識の深さを測る上で「境界」にしている画家がいる。13世紀から14世紀に、ルネサンスの先駆けとして活躍したジョット・ディボンドネ(1267~1337年)だ。クイズ番組でその名を答える解答者がいると、うれしくなる。

 ジョットは「イタリア絵画の父」と呼ばれ、建築家でもある。フィレンツェのシンボル「花の聖母教会」に併設されている美しい「ジョットの鐘楼」は、ジョットが建築を始めた。

 美しい色大理石の筒状の建物を、らせん階段ではなく、右回りに直角に曲がって続く長い階段を上る。上りきると、聖母教会の美しいドームが眼前に眺められる穴場である。

 ジョットを堪能できるもう一つが、イタリア半島の真ん中にあるウンブリア州アッシジのフランチェスコ大聖堂だ。その内陣を飾る28枚の連作「聖フランチェスコの生涯」はジョットの作とされている。

 さらにもう一つの大作があるのが、ベネチアから約30キロ西のパドヴァに立つスクロヴェーニ礼拝堂。アッシジの聖フランチェスコの生涯を制作した後に、この礼拝堂の壁を色鮮やかなフレスコ画であふれさせた。

 イタリア美術の最高峰の一つという評価を得ている。「この礼拝堂そのものがイタリア美術の聖地」と、石鍋真澄成城大教授は断言している。

 色鮮やかな作品群が壁面を覆う中、「ユダの接吻」は美術書や教科書にも紹介されている作品だ。銀貨30枚でローマ兵にキリストを売り渡すエスカリオテのユダ。全身を黄色いケープで覆ったユダが中央のキリストを抱擁する緊張の一瞬を、2人の視線を交差させて最大の効果をもたらしている。

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 中世の、のっぺりした無表情の人物表現から脱して、人間の感情を豊かに表すジョットの技法は、やがてレオナルド・ダビンチ、ミケランジェロ・ブオナローティ、ラファエロ・サンツォら、ルネサンスの巨人に大きな影響を与えた。

 主としてギリシャ時代の人間味豊かな芸術表現を復活、再生させたルネサンス。もしこの動きがなければ歴史はずっと遅れていた―といわれている。そのきっかけをつくったのがジョットだった。
(高校英語講師)
(2018年12月8日掲載)


写真左=「花の聖母教会」から「ジョットの鐘楼」を見る
写真上=広場からの「ジョットの鐘楼」

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ヨーロッパ美の旅