
ブッポウソウ目カワセミ科のカワセミは、体長約17センチとスズメよりやや大きく、ヤマセミ、アカショウビンの仲間だ。北海道では夏鳥だが、本州以南の河川や湖沼など、どこでも四季を通じて見られる。
速いスピードで水面近くを低空で直線的に飛行し、木の枝や石に止まり獲物を見つける。水中へダイビングし、長いくちばしで捕まえた小魚や水生昆虫を、止まり木や石に何度もたたきつけるしぐさはユニークだ。きれいなブルーの羽の色から「青い宝石」とも呼ばれ、野鳥ファンや写真愛好家の憧れの鳥だ。
長野市の県庁西、旭山から丹波島橋の犀川合流に向かって流れ下る裾花川。約5キロに及ぶ一帯は、カタクリ群落やヒメギフチョウ、ウグイやオイカワなど多様な動植物が命を紡ぎ、豊かな自然を市民が楽しむ憩いの空間だ。
水辺ではこの時季、餌をあさるダイサギやアオサギ、カモ類、カワウをはじめ、木々にはコゲラやアカゲラ、アオゲラ、ジョウビタキ、モズなども姿を見せる。
餌を求めて移動する鳥たちに交じって時折、カワセミが姿を現す。魚を捕まえやすい場所は決まっていて、園児送迎のバス運転手中村達也さん(66)=同市松岡=はそのポイントに連日のように足を運ぶ。チョウ、ハチなどの昆虫や野鳥など「飛ぶものは何でも」被写体にしてきたが、ここ数年は、同時にカワセミを中心に野鳥撮影に力を入れている。
「カワセミは、羽の色が角度や光線の当たり方によって違って見えるのが魅力」と中村さん。超望遠レンズ付きの一眼レフに加え、最近は倍率が高く、高画質で、実質0・33秒で20コマの撮影が可能で、手持ち撮影ができるというミラーレスカメラを併用。動画並みの連写で、一瞬の輝きに迫る日々が続いている。
(2019年1月19日掲載)
写真=水中へダイビングし、水生昆虫を捕まえたカワセミ=裾花川で2018年11月28日撮影