
中野市の延徳田んぼの西、南北に走る上信越自動車道の側道を走行中、道路脇の畑に残るハウス用パイプに止まっていた一羽の鳥が目に入った。トビのようだが、白っぽい羽にノスリと確信し、望遠レンズを用意してUターン。そっと車で近づいた。
高さ2メートルほどのパイプに止まり、餌探しに夢中なのか、巣立ったばかりの幼鳥で怖いもの知らずなのか、ひっきりなしに通る車はお構いなし。こちらの動きにも動ぜず、さらに接近し、窓からレンズを出しシャッターを切った。
タカ科の猛禽(もうきん)で、大きさはカラス大の50数センチ。全国に分布、里山から亜高山近くの樹林帯で繁殖し、秋から冬は餌場を求めて、里や南方に移動する。
「広大な延徳田んぼ一帯でよく見かける」と日本野鳥の会長野支部事務局長の小宮山義光さん(52)。田畑やリンゴ畑が広がり、主食のネズミやモグラなどの餌が得やすいためという。首を巧みに回転させ、視力は人の数倍とされる眼孔で、小動物の一瞬の動きをキャッチする。
そのせいか、それまで何度も静止するノスリを見つけ、望遠レンズで近づいたが、撮影に成功したことはない。「写真を撮ろうとする車、レンズを向ける動きには敏感に反応する」と小宮山さん。慣れたと思われる農家で使う軽トラが有効で、真横を通過しても逃げないという。

季節によって場所を変えるが、河川敷、里山の森林などでの探鳥会でもよく観察できる鳥という。個体数が多いと確認されたとして、2015年改訂の県版レッドリストで準絶滅危惧種から除外された。
(2019年2月2日掲載)
写真=人の数倍とされる視力で獲物を探すノスリ=小布施町押羽で2018年12月14日撮影(写真上)飛翔するノスリ。白っぽい羽、扇状の尾羽先端が特徴=木島平村で同年10月8日撮影(同下)