
腹痛を訴えて病院に来る子どもの中で、便秘症は過半数を占めています。
排便が週3回より少なかったり、5日以上出ない日が続いたりすると、便秘と考えられます。また、毎日出ていても、出すときに痛がって泣いたり、肛門が切れて血が出たりする場合も便秘です。
なりやすい時期
便秘のために治療が必要な場合を「便秘症」、便秘症が1~2カ月以上続いた場合には「慢性便秘症」といいます。
便秘症の子どもは、排便時に痛い思いをしたり、苦しんだりしていることが多く、それが排便をがまんすることにつながり、悪循環に陥りがちです。また、硬い便が肛門に近い直腸にとどまり続けることで、腸が鈍感になって便意を感じにくくなり、ますます便が長く腸にとどまってしまう原因になります。
子どもが便秘症になりやすい時期は、母乳からミルクに移行し、離乳食を始める乳児期、トイレットトレーニングを行う幼児期、学校に通い始める学童期とされます。早期に適切な治療を行うことは、その後の経過に影響するといわれています。
浣腸や飲み薬で
診断は、問診で便の回数、硬さや食事の内容、生活について聞くことから始めます。おなかを含めた全身の診察を行い、必要に応じてエックス線や超音波の検査、血液検査を行うこともあります。こうした検査で、便秘がほかの疾患に伴う症状でないかを確かめます。
治療は、まず直腸に便がたまっていないかを判断し、ある場合にはたまった便を浣腸や飲み薬で出します。便の詰まり具合やおしりからの出血、浣腸への恐怖心の有無などで、治療法を変える場合もあります。
便を出したら、生活習慣の改善や食事療法、薬によって、再び直腸に硬い便がたまらないようにします。
トレーニング
幼児期のトイレットトレーニングは、いつ始めるのがいいでしょうか。
一人で歩ける、自分で下着の上げ下げができる、コミュニケーションがある程度取れる、おしっこやうんちに興味を示す―など、本人の発達段階を考慮しつつ、保護者が叱らずに忍耐強く見守ることができる余裕のある時期が来たら、始めるのがいいと思います。
便秘症の子どもは、便意を感じてもこらえて足を交差させたり、走り回ったりすることが多く、トイレで排便できないことがあります。トイレへの拒否感の強い子どもは、初めは着衣のまま便座やおまるに座る練習から始めてもいいでしょう。
(2019年3月23日掲載)
塩入 崇弘=小児科科長=専門は小児科一般