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2019年春 05 菜の花 ~春を演出 堤防に黄色いじゅうたん

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 旧豊田村(現中野市)出身の高野辰之が作詞し、「菜の花畑」で始まる唱歌「朧月夜」。千曲川を望む飯山市瑞穂の菜の花公園では、一面の菜の花畑を再現して、毎年お祭りが開かれており、奥の人たちでにぎわっている。

 飯山市農林課によると、この公園の種はノザワナ。「菜の花」という呼び方は、古くから油脂を採るアブラナのほか、セイヨウアブラナなど、アブラナ科アブラナ属の総称だ。

 観光や食用に栽培されるのとは別に、桜が咲く季節に、長野市や中野市などの千曲川の堤防沿いでも、黄色の花が一斉に咲く。隣接する河川敷や畑で栽培した菜の花の種がこぼれて、徐々に増えた。管理する国交省千曲川河川事務所(長野市)は「種をまいたのではありません」。

 千曲市から中野市にかけて、かつて群生していた場所を回ってみた。10年ほど前に取材したところだ。長野市松代大室や村山橋上流では、堤防の改修工事などでほとんど姿を消していた。新たに、同市真島の市場団地近くや岩野橋と赤坂橋にかけての左岸沿いに小群落が点在。「ここ数年で徐々に下流に移っているようだ」と、近くで畑仕事をしていた坂本悦雄さん(79)=篠ノ井小森。

 多少の増減は見られるものの、中野市の立ケ花橋上流の右岸や、篠井川との合流地点付近は、10年前とほぼ同じだった。長さ200メートルを超す斜めののり面に、黄色のじゅうたんを敷き詰めたかの様子は、相変わらず圧巻だ。

 桃の花のピンク色や柳の芽吹きの新緑など絶妙のコントラストを生み出している。しかし、「こぼれた種にモグラなどが寄り付き、管理上好ましくない」と同河川事務所。堤防の点検で見やすくするため、梅雨に入る前に、ほかの雑草と共に除草するという。
(2019年5月4日掲載)

写真=堤防ののり面を覆う菜の花。何年もかけて自然に増えた=中野市立ケ花の千曲川右岸、篠井川合流付近で4月22日撮影
 
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