
上信越道豊田飯山インターの北方、飯山街道沿いで、コンクリート製電柱の先端に止まる猛禽、サシバを捉えた。
タカ科で、約50センチとカラスほどの大きさ。南方系の鳥で、春先に日本に渡来して繁殖し、秋に南に帰る夏の渡り鳥だ。東南アジアで冬を越して、朝鮮半島、中国北東部に渡ってくる。県内では主に県北部の密度が高い。
繁殖場所は低山の里山一帯。田畑が広がり、カエルやヘビ、昆虫などの餌を得やすく、近くに営巣するカラマツや杉などの林がある場所だ。食物連鎖の頂点に立つサシバが好む環境は、生物多様性が保たれた自然豊かな環境とされ、指標動物になっている。
木島平でサシバの生息する里山環境をテーマに、2010年から調査を続ける「ラポーザ」代表の荒井克人さん(39)は「一帯には毎年十数ペアが繁殖を繰り返し、全国的にも珍しい場所」。ドローンでサシバの餌の捕食場所や行動を追跡し、水田の様子を撮影するなど新たな方法で解析に取り組んでいる。
秋、サシバは南方へ。「タカの渡り」の県内通過ポイントの一つである長野市の飯縄山麓の浅川大池で、観察、記録を続ける日本野鳥の会長野支部によると、天候具合などで年によって幅があるが、通過するタカ類は約2千~5千羽。サシバが最も多く、全体の6~7割を占める。ピーク時は一日で数百から1千羽、11年9月24日には最多の3900羽を数えた。

観察を続ける会員の吉池公明さん(66)=小布施町=は「時には、上昇気流に乗るタカ柱を見ることができる」と魅力を語る。渡りのピークは秋分の日前後だったが、「ここ数年早くなっている」と話している。
(2019年6月8日掲載)
写真左=電柱の先端で餌を探すサシバ。白い喉、中央に縦の黒い線が特徴
写真上=電柱から飛び立つ。羽を広げると約1メートルに=飯山市で4月27日撮影