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47 新潟県糸魚川市能生 ~海岸線を走る路線バスで

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 新潟県上越市の直江津と糸魚川市能生を、海岸線沿いに結ぶ路線バスがある。興味があり、出かけてみた。
 北しなの線とえちごトキめき鉄道を乗り継ぎ直江津へ。同駅の近くにある労災病院から頸城自動車能生線が1日2往復、朝と昼に運行している(祝休日は運休)。

 今回の目的地は糸魚川市の「道の駅マリンドリーム能生」。直江津駅からの運賃は片道970円だが、同自動車は上越市内を発着する路線バスの1日フリー乗車券を1000円で発売しているので、こちらを利用するとお得だ。同駅北口の観光案内所か、乗車時に運転手にその旨を伝えると入手できる。

 12時前に同駅南口で乗車。通院帰りの人がいないせいか、乗客は自分1人。途中、ショッピングセンターで高齢者2人が乗車したが、ほどなく下車。ほぼ1人のバス旅となった。

 市街地を抜けると、右手に日本海が現れた。あいにくの雨模様で、海は茶色く濁っている。晴れていれば気分も良かっただろう。

 車内にエンジン音を響かせて、バスはのんびりと海岸沿いの国道8号線を走る。途中、谷浜と筒石で集落を経由し、50分足らずで道の駅マリンドリーム能生に到着した。

 同施設はベニズワイガニの直売で知られ、親子連れなどでにぎわっていた。駐車場の車のほぼ半数が長野と松本ナンバーで驚いた。自家用車なら休日に気軽に訪れることができる距離だろう。

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 帰りのバスまで少し時間があるので、能生漁港がある小泊(こどまり)地区を歩いた。入江の背後に山が迫り、わずかな緩斜面に家が立ち並ぶ。

 小路が見えた。入ってみて、思わず歓声をあげた。曲がりくねった路地と階段が現れ、板塀の家並みが絵になる。狭い土地に2階建ての家がひしめき、小路が縦横に結んでいる。路地裏歩きが好きな人にはたまらない光景だ。

 30分ほど集落を巡り、帰りの直江津行きバスに乗車。滞在時間は1時間半と、少々物足りなかった。

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 自家用車では見逃してしまう風景に出合えるのがバス旅の醍醐味だ。ただ、直江津駅の乗り換えが行きと帰りでそれぞれ30~40分もあり、読みかけの本を持っていけばよかったと後悔。便利な旅に慣れたせいか、余白時間の過ごし方を忘れていたことに気づかされた。
(森山広之)
(2019年7月13日掲載)

写真上=能生漁港がある小泊地区。狭い土地に家が立ち並ぶ
写真左=能生海水浴場の横を走る能生線のバス
 
小さな日帰り旅