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095 小遠見山 ~信州側初の氷河が眼前に

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 梅雨明け後の晴天が続いた8月上旬の土曜日、山仲間と2人で北アルプスの小遠見山(2007メートル)から中遠見山(2037メートル)に登った。

 白馬村の八方尾根の南側に位置し、五竜岳(2814メートル)に続く遠見尾根の山々だ。山麓からテレキャビンを利用し、後立山連峰の大展望と高山植物の花々が楽しめる。

 7時に長野市内を車で出発。五輪道路で白馬村に入り、白馬五竜スキー場のテレキャビンに乗車。わずか8分で、標高1515メートルのアルプス平駅に。

 一帯には「白馬五竜高山植物園」が広がり、ピンクのシモツケソウや赤いカライトソウなどが咲き乱れている。花は下山時に楽しむことにし、アルプス展望リフトに乗り換え、ここも8分で終点に。

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 その先が登山口だ。しばらく進むと、地蔵の頭(かしら)という大きなケルンが現れる。内部には遭難防止用の鐘と石仏が1体置かれている。ここからの八方尾根から唐松岳(2696メートル)にかけての眺望は素晴らしい。

 いったん鞍部に下り、ブナ林を登り詰めると、見返り坂に。下方を振り返ると、白馬村から小谷村方面の集落と田園が箱庭のようだ。枕木を使った何箇所もの階段を登っていくと、一ノ背髪、二ノ背髪という、いわくありげな名前の休憩地点にさしかかる。

 1時間半で小遠見山の山頂に到着した。だが、朝方は晴れていたのに、上るにつれガスが湧き、周囲は視界ゼロ。大休止しながら20人ほどの登山者とガスが消えるのを待つ。しかし、らちが明かないため、もう一つ先のピーク・中遠見山まで行ってみることにする。

 アップダウンを繰り返しながら30分ほどで山頂に。眼前の鹿島槍ケ岳(2889メートル)は、山頂部こそ雲に隠れていたものの山腹のカクネ里雪渓はよく見える。

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 富山県の立山連峰に3カ所残るだけだった日本の氷河が、昨年初めて長野県側でも認定された場所だ。厚さ30メートル以上の万年雪が押し固められ、底が動いているという。

 戦国武将の武田家の家紋「武田菱」の雪形で知られる右手の五竜岳は、くっきりと見えるようになってきた。遭難慰霊の銘板がはめ込まれたケルンの脇で昼食を取り、再び小遠見山に戻る。

 この頃にはガスも上がり、鹿島槍ケ岳も一瞬ではあったが、雲の切れ間から頭をのぞかせた。それ以上は待ちきれず、下山に入る。

 来た道を下り、地蔵の頭の手前から自然遊歩道を回って高山植物園へ。コマクサやヒマラヤの青いケシは盛りを過ぎていたものの、マツムシソウ、ササユリ、エゾアジサイなど数多くの花々を目にすることができた。
(横前公行)
(2019年8月24日掲載)

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 上=信州側で初の氷河と認定された鹿島槍ケ岳のカクネ里雪渓
下右=小遠見山の山頂から五竜岳を望む
下左=シモツケソウなど多種類の花々が咲く高山植物園
 
中高年の山ある記