149 視野検査 ~片目ずつ見える範囲を測定

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 皆さんは、「眼科の検査」と聞いて何を思い浮かべますか。子どもの頃から誰にもなじみの深い「視力検査」と答える人が多いかもしれません。

 しかし、眼科の検査には、ほかにもさまざまなものがあります。今回は、その一つ「視野検査」を紹介しましょう。

緑内障などを調べる

 視野検査は、目で一点を見つめた場合に、見える範囲を測定する検査です。緑内障や視神経疾患、網膜疾患、頭蓋内疾患、心因性疾患などが疑われる場合に行います。

 視野検査は視力検査と同じように、検査を受ける人自身がどう見えるかを答える、自覚的な検査です。測定の方法はいくつかありますが、ここでは、片目で行う「静的視野検査」と「動的視野検査」を紹介します。

 どちらの検査も、固視目標の一点を見つめながら行います。

 静的視野検査は、機械が点滅する光を出し、見える範囲を測定します。それに対して動的視野検査は、視能訓練士が手動で、動きのある光を出し続け測定します。

 測定する時は、遮蔽(しゃへい)ガーゼで片目を隠し、顎とおでこを検査台に置きます。そして、正面にある点をしっかり見て、光を感じたら持っているブザーを押します。

 検査中は、自然なまばたきをしても構いませんが、正確な検査を行うため、目を動かして光を探したり、見えた光を追ったりすることをしてはいけません。

 検査時間は、年齢や症状によって異なりますが、片目につき、静的視野検査で約7分、動的視野検査で約20分です。集中力が切れて目を動かしてしまったり、眠気に襲われたりしてしまうと、視野の評価が難しくなります。

 私たち視能訓練士は信頼性の高い検査結果が得られるようにするために、患者さんの不安や緊張を和らげ、できるだけリラックスして検査を受けられるように心掛けています。

感じにくい異常

 視野の異常は、本人が気付かないことがあります。これは、片目の視野が欠けていても、もう一方の目で補うようにできているためです。

 もし生活の中で見え方に違和感があったら、片目ずつ、反対の目を隠して一点を見つめ、見え方を確認してみることをお勧めします。その上で、見え方がおかしいと感じたら、眼科で検査を受けましょう。
(2019年9月14日号掲載)


古川 宏美=診療部眼科主査(視能訓練士)

 
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