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2019年秋 04 アレチウリ クズ ~樹木などを覆い 旺盛な繁殖力

 河川の堤防沿いや河川敷、里山から山地の道路沿いに、こんもりと時には広大に繁茂するクズやアレチウリ。場所によっては双方が入り交じり、樹木や草地などを覆いつくし、フェンスや電柱、道路標識、看板まではい上り旺盛な繁殖力を見せている。

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 ツル性植物でよく似ていて見分けがつきにくいが、花や実、葉の付き方などが違う。クズは日本原産でマメ科の多年草。茎は長いものは10メートルにも達し、あらゆるものを覆い尽くし迷惑な雑草の代表格とされる。「身近な雑草のふしぎ」(森昭彦著)によると、土地改良や牧草目的で移入した米国では想像を超えて繁茂し、「デビル・プランツ」(悪魔の植物)として厄介者扱いされているという。

 反面、夏の終わりから秋にかけて咲く紫色の花は芳香を放ち、多くの昆虫の蜜源となり、古くは万葉の時代から秋の七草として親しまれている。根茎から採取される良質なデンプンは「葛粉」や「葛根湯」として利用される。

 一方のアレチウリはウリ科の一年草で北米から移入した外来種。1952年に静岡県で初めて確認され全国に広まった。県内では70年に中南信で、72年には長野市で見つかり、勢力を拡大し続けている。

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 増える原因は、1株で5千粒以上、2万粒という記録もある膨大な種。落下した土中では数年生き残るとされ、発芽率は70%と高い。

 環境省は、「在来の生物に悪影響を及ぼす」とし、2006年、特定外来生物に指定。県では翌年、環境部の呼びかけで県下一斉の駆除がスタート。駆除時期などを変えた16年から「県アレチウリ駆除大作戦」と名称を変え、自治体や地元住民、企業などから2万人を超す人が参加し、懸命な駆除活動が続いている。
(2019年11月2日掲載)

写真上=桜並木を覆い尽くしたクズ=いずれも篠ノ井山布施から安庭の国道19号沿いで10月10日撮影
写真下=電線に絡みつくアレチウリ。

 
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