
雨続きだった10月中旬の土曜日、県カルチャーセンター「里山講座」の会員たちと大町市の鷹狩山(1156メートル)に登った。あいにくの空模様で北アルプスの山並みは望めなかったが、眼下に大町市内を一望できた。
鷹狩山の名は、江戸時代に付近でタカの幼鳥を捕獲して松本藩に献上したことに由来するという。大町市民の山として親しまれ、山頂まで舗装道路が通じているが、トレッキングコースの「たかがり小径(こみち)」も麓の大町山岳博物館のお薦めだ。
7時に長野駅東口を中型バスで出発。白馬方面への五輪道路を大町市美麻で左折し、市街地へ。大町山岳博物館の駐車場でバスを降り、歩き始めるころには小雨も上がっていた。
赤松やよく手入れされた杉林の中を登っていくと、左手に会員制のキャンプ場「山の子村」が。「立ち入り禁止」のロープが張ってあるのが気に入らない。
さらに進むと舗装道路に出た。やや興ざめだったが、100メートルほど先から再びトレッキングコースに。道端のウルシの葉が赤く染まり、木々も黄葉している。
もう一度舗装道路を横切ると急坂になり、頂上直下の植物園の中に。あちこちの植物に名札が付けられている。
1時間余で山頂広場に出た。ここは「恋人の聖地」とやらで、2人で写真を撮るためのハート形のモニュメントが設置されている。晴れていれば、市内と北アを同時に見渡せる絶景ポイントだ。
この日は雨上がりのガスが湧き、最初は何も見えなかったが次第に消えていき、4階建ての展望塔の屋上からは市内を見下ろせるようになった。蓮華岳や爺ケ岳、鹿島槍ケ岳などの眺望は、設置されている写真パネルで我慢することに。
しばらく眺めを楽しんだ後、山頂まで来てもらっていたバスに乗り、八坂の唐花見(からけみ)湿原へ。入り口にある木造の休憩施設の中に荷物を置き、空身(からみ)で張り巡らされた木道を歩く。

この時季は至る所にある、赤い小さな実を付けたミヤマウメモドキが目を引く。既に葉が落ち、真っ赤な実だけが枝に鈴なりとなっている光景は見ものだ。
湿原を周遊した後、休憩施設の中で昼食を取り、バスに乗って池田町の大峰高原にある七色大カエデを見に行く。推定樹齢250年、高さ13メートルの大カエデは毎年10月中旬から紅葉が始まる。さまざまな色が入り交じった後、最後には全体が赤くなるという。
見物客用の売店の人から「見ごろには1週間ほど早い」と言われたが、日当たりのよい東側は十分に紅葉が進んでいた。1杯300円のきのこ汁をいただき、帰路に。入浴で立ち寄った金熊温泉明日香荘を出ると、外はざんざん降りの雨になっていた。
(横前公行)
(2019年11月2日掲載)
写真上=眼下の大町市内を一望。晴れていれば北アの大パノラマが広がる

写真下左=見ごろが近くなった七色大カエデ
写真下右=唐花見湿原のミヤマウメモドキ