154 C型肝炎 ~早期発見・治療で発がん予防~

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 C型肝炎は、C型肝炎ウイルスに感染することで引き起こされる肝臓の病気です。

気付かない人も多く
 発症していても自覚症状がほとんど表れないため、気付かないまま日常生活を送っている患者さんが少なくありません。C型肝炎ウイルス感染者のうち、感染に気付いていない人や、感染が分かっていても医療機関を受診していない人は、現在も多く存在しているといわれています。

 C型肝炎ウイルスに感染すると、約70%の人は体内にウイルスがとどまり、慢性肝炎へと移行します。慢性肝炎はさらに肝硬変、肝がんへとゆっくり進行していきます。肝がんの発症率は、放置した期間が長くなるほど高くなります。

 日本では年間約3万人が肝がんで亡くなっており、原因として最も多いのがC型肝炎ウイルスです。C型肝炎を早期に発見し、きちんと治療をして将来の発がんを防ぐことが重要です。

 C型肝炎ウイルスの検査は、保健所や医療機関で受けることができ、無料で受けられる場合もあります。検査で陽性と分かったら肝臓の専門医を受診して、詳しい検査を受けましょう。

最近は飲み薬で治療
 ウイルスの排除には、抗ウイルス療法が必要です。抗ウイルス治療は日々進歩しています。

 従来は注射剤のインターフェロンを用いた治療が中心でしたが、飲み薬の抗ウイルス剤が開発され、治療効果に不満を持つ人や治療を中断している人に対しても選択肢が増えました。現在は飲み薬を2~6カ月間服用してウイルスを排除する「インターフェロンを使わない治療」が中心に行われています。

 C型慢性肝炎やC型肝硬変の抗ウイルス療法に対して、医療費を助成する制度があります。申請し認定されると、月1万円(世帯所得によっては2万円)までの自己負担で治療できます。助成制度については保健所などで確認できます。これまでC型肝炎ウイルス検査を受けたことがない人は、一度は検査を受け、感染していないかを確認しましょう。

 治療を受けてウイルスが排除できると肝がんになる危険性は低くなりますが、完全になくなるわけではありません。ウイルス排除後も肝がんになるリスクが高い患者さんの条件は▽高齢▽男性▽飲酒習慣がある▽脂肪肝▽糖尿病がある―といわれています。ウイルスが排除できたとしても、年に1~4回程度は検査を受けて、肝臓の状態を観察することが大切です。

国本 英雄/肝臓内科医長、消化器内科医長=専門は消化器、肝臓
 
知っておきたい医療の知識