
「臥竜山(須坂市)に(外来の鳥)ソウシチョウがいますよ」。昨年11月末に確認されたという。知人からの連絡にわが耳を疑ったが、12月12日、足を運ぶと確かにいた。
臥竜山(471メートル)の散策道を歩くと、葉がすっかり落ちた雑木林やネズミモチの樹林の中に、20~30羽の集団で枯れ葉の下の昆虫や低木の実など餌をあさりながら移動していた。
スズメ目チメドリ科。国の特定外来生物指定種で、元々の生息地は中国南部から東南アジア、インド、ヒマラヤ一帯。全長はスズメ大の15センチほど。黄色の喉やオレンジ色の胸、黄と赤色の斑紋の翼、赤いくちばしなどカラフルなのが印象的だ。繁殖期のにぎやかなさえずりとともに観賞用として早くも江戸時代に移入、飼育されていたとされる。
それが籠抜けし野生化。暖地を中心に分布を拡大し、1931(昭和6)年には兵庫県で定着が確認され、80年代には九州、関西、関東まで広がった。県内でも95年に飯田市で確認され、2000年代、飯田市上村の伊那山脈一帯で行われた県内初の本格的な調査で、繁殖をうかがわせる巣立ちびなを連れた複数のつがいが確認された。

このほか、繁殖期以外では下伊那を中心に東北信などでも断片的な確認情報がある。臥竜山では、古くから一帯の野鳥観察を続けている地元の人が十数年前に1羽を確認しているものの、複数の集団、長期滞在は初めて。どこから飛来したのかは不明だ。
望遠レンズを携えた十数人の野鳥ファンの中に10年ほど前から、悪天以外はほぼ毎日体力作りを兼ねてカメラ片手に野鳥を撮影している地元の上野正男さん(69)がいた。これまで50種近くの野鳥を写真に収め、アルバムを山頂のあずまやに置いて市民に楽しんでもらっている。
上野さんは12月20日、ソウシチョウを撮影中、すぐ近くでウグイスを撮影した。餌や繁殖場所を巡って競合が懸念されている在来の鳥なので「追っ払われたのかな?」。今後の動向を見守っている。
(写真はいずれも臥竜山で、12月16日撮影)
(2020年1月11日掲載)
写真上=ムラサキシキブの実をついばむ
写真中=カメラをにらみ返しているようだ

写真下=やぶの中を好む習性がある