
長野市若穂綿内のメダカ池で野生メダカ(1月25日号掲載)を撮影中、アメリカザリガニが突然現れた。メダカを狙いに来たのだろうか、大小数匹が水草の間を行ったり来たりしていた。 池には昨年度、綿内小学校2年礼組の子どもたちが、生活科の授業で20回以上訪れた。「自然を通し、教室の中や既存の遊びにはない多くのものを学んだ」と担任の西沢亮太先生(25)。9月末には、女子児童が道中の水路でアメリカザリガニを捕まえた。おなかに卵がいっぱいでクラスに持ち帰り飼育。秋の終りごろ卵はふ化し、現在数えきれないほど多くの小さな子が元気に育っている。
子どもたちに人気の一方であぜに穴をあけるなど農家にとっては厄介者。名の通り原産地が北米の外来生物。体長10センチほどで、水生の小昆虫や植物、小魚など何でも食べる。日本には、昭和のはじめごろ食用ウシガエルの餌として移入、養殖池から逃げ出し野生化したとされる。旺盛な繁殖力からその後30年ほどで全国に分布を拡大、県内でも一円に生息する。
国内にはアメリカザリガニのほか、北海道や東北の冷涼な水辺に在来のニホンザリガニが生息する。ほぼ重複するように生息する外来のウチダザリガニは、住み家や餌の競合、漁業被害などが懸念され、国の特定外来生物に指定、飼育や譲渡、放出などが規制されている。
ウチダザリガニは県内の東信、中信、南信のダム湖や河川でも確認されている。2011年から県環境保全研究所が調査を続けている南信のダム湖では増殖を続け、ピークの13年には「推定約2万匹」(北野聡主任研究員)とされた。しかし、同時に駆除も進めた成果か「昨年は調査開始時の約3千匹まで減った」という。
日本の生態系を破壊し、法律で規制されるウチダザリガニ。アメリカザリガニも県の漁業調整規則でブラックバスやブルーギルとともに知事の許可なしに移植することは禁じられている。
(2020年2月8日掲載)
写真=水草の根の間から姿を現したアメリカザリガニ=長野市若穂綿内のメダカ池で昨年12月25日撮影