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2020年春 02 ニホンイタチ ~水辺に生息する日本固有種

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 3月19日、久しぶりに中野市立ケ花の千曲川と篠井川が合流する地点に鳥の撮影に行ってみた。平日の静寂な空気に包まれた川べりを歩いていると、水神碑の陰から小さな動物が姿を現し、素早く消えた。いったん姿を見失ったが、再び現れたところを撮影に成功。写真からニホンイタチと分かった。

 3月末、近くに住む知人の丸谷郁雄さん(88)を訪ねると、「一昨日(28日)も見たよ」。丸谷さんは2017年と翌年の1月末、千曲川河川敷内の畑の雪上や川面を泳いで渡るニホンイタチを撮影している。

 イタチ科で本州、四国、九州に分布する日本固有種のニホンイタチは中小河川や湖沼、水田など水辺周辺に生息。雄の頭胴長は35センチ、尾は17センチ前後。雌は25センチ、10センチ前後とひと回り小さい。ネズミやカエル、小鳥、昆虫などの動物食で、時にはニワトリやウサギなども捕食する。指の間には水かきがあり泳ぎが得意で魚やザリガニなども食べる。

 一方、外来種のシベリアイタチ(チョウセンイタチ、タイリクイタチ)は本州の西日本、四国、九州に生息。戦前、毛皮目的で国内に持ち込まれて養殖された。戦後、野生化したとされる。農作物に被害をもたらし、民家の屋根裏にも侵入。ニホンイタチより大型で、生息地や餌をめぐりニホンイタチを駆逐し、山間地へ追いやっているという。

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 シベリアイタチは現在、東海地方まで分布域を広げているが、長野県内での目撃例はないという。ただ、NPO法人生物多様性研究所あーすわーむ(軽井沢町)の福江佑子研究員は10年ほど前、千曲川沿いのアメリカミンクの分布調査をした際、佐久市内で採集した糞のDNA解析から、シベリアイタチの生息の可能性をうかがわせる分析結果を得た。

 福江さんは、「生息は断定できないが、さらに詳しく調べたい」としている。

(2020年4月11日掲載)


写真=千曲川と篠井川が合流する排水機場周辺に現れたニホンイタチ。シベリアイタチに比べ尾の長さが短いという=中野市立ケ花で3月19日撮影
 
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