
中野市草間の千曲川と篠井川が合流する丘陵地の樹林帯にアオサギのコロニー(集団繁殖地)がある。高さは20メートルを超えるだろうか、細い木の枝で作った巣が50個ほど。大型連休の5月ころから、ひながふ化。しきりに餌を運ぶ親鳥の姿が見られ、7月初旬ごろまでに、ほとんどが巣立った。
このコロニーは7、8年前と新しい。それまでは、1キロメートルほど東方にある龍徳寺の裏山の樹林帯だった。近くの写真愛好家丸谷郁雄さんは、2003年5月、巣の上空を乱舞する姿を撮影しているが、「それ以前からいた」という。
周辺には民家が点在し、「鳴き声による騒音やふん害、悪臭には悩まされた」と寺近くに住む男性(71)。市に陳情し、50個ほどあった営巣木の枝を切るなど整備してもらった。これを契機に一団は、現在の場所に引っ越したという。
コウノトリ目サギ科。全長約90センチ、羽を広げると1メートル70センチほどとサギ科の中では最大。全国に分布するが、本州、四国では留鳥か漂鳥、北海道では夏鳥、九州では冬鳥だ。
県内では、最近一年中見かける鳥だが、県環境保全研究所の堀田昌伸研究員(61)=鳥類生態学=によると、かつて1970年代にはコロニーは野尻湖に1カ所だけだった。その後急増し、同研究所が07年から3年間、全県の生息場所を初めて調査したところ営巣地は29あり、718個の巣を確認した。全国的にも、70年代後半から20年間でおよそ6倍に増えた(環境省調べ)という。
主な餌は魚のため、コロニーは千曲川や犀川、天竜川など大きな河川沿いに分布。安曇野市や佐久市、北信ではこの場所のほか、千曲市や飯山市の大関橋下流の右岸、市川橋の下流左岸にあるという。
(2020年7月11日掲載)
写真=樹上の巣で親鳥(中央)から口移しに餌をもらうひな。4羽が巣立った=中野市草間の千曲川と篠井川合流地点で6月2日撮影