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112 陣馬形山 ~群を抜く山頂からの展望

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 小春日和が続いた12月上旬、南信の絶景の山、上伊那郡中川村の陣馬形山(じんばがたやま)(1445メートル)に登った。西に中央アルプスの山並みと眼下の伊那谷、東には南アルプスの連山を望む。今年最後の山の眺望を満喫した。

 山仲間5人で7時半に長野市内を出発。朝方は小雨模様だったが、長野インターから上信越道・長野道で松本平に入ると晴れてきた。

 伊那谷に来ると、願ってもない好天に。中央道の駒ケ根インターで降車。国道153号伊南バイパスを南下し、飯島町から中川村へ。

 途中、天竜川に架かる坂戸橋を渡る。1932(昭和7)年の建設で、国の重要文化財に指定されるコンクリート製アーチ橋だ。村道を北に進み、美里登山口に向かう。

 陣馬形山は現役時代に伊那にいた頃、3回訪れたことがあった。山頂まで車で行けるため、麓から歩いて登るのは今回が初めてだ。乗用車1台が通れる細い道の突き当たりに車を止め、10時過ぎに歩き始める。ポツンと一軒家のような民家の裏側から登山道に。ヒノキ林の中をしばらく登ると、1回目の車道に出る。100メートルほど右に進み、再び登山道に入る。この後も数回、車道と交差する。

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 幅広い登山道の途中には、中アと伊那谷を望む展望ベンチも。アカマツやカラマツの林の中をどんどん登って行くと、樹齢600年という巨木「丸尾のブナ」が現れた。案内板によると、幹回り6・45メートル、樹高14・5メートル。めったに見られない大きさだ。

 ここで大休止した後、さらに登って6回目の車道と交差すると、今度は車道歩きとなる。右手に牧場が見えてくると、山頂部はすぐそこだ。無線中継塔が何本も立っている。 
 小広い駐車場の先がキャンプ場だ。管理棟や炊事場、あずまやなどがあり、水洗トイレも完備されている。

 その先の木道を登って行くと頂上だ。ベンチや方位盤、無料の双眼鏡まであり、心ゆくまで眺望を楽しむことができる。

 西側には、北から南まで中央アルプスの全山が連なる。雪化粧した千畳敷カールと宝剣岳。さらに空木岳(うつぎだけ)から南駒ケ岳、越百山(こすもやま)。遠くに風越山や恵那山まで見える。

 眼下の伊那谷も、辰野町から飯田市まで一望の下だ。

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 振り向くと、東側には伊那山地越しに仙丈ケ岳から北岳、間ノ岳(あいのだけ)、農鳥岳、さらに塩見岳、荒川岳、赤石岳、聖岳(ひじりだけ)など。こちらも3千メートル以上の山々のほとんどが見える。

 山頂で昼食を取っていると、足の不自由な老婦人を支えながら娘さんが登ってきた。飯田から、この景色を見に来たという。車で来られる山だからこそできるのだろう。
 帰路は中川村のハチ博物館を見学し、18時ごろ長野に戻った。

(2020年12月19日号掲載)

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写真上=山頂から西側に望む中央アルプスと眼下の伊那谷

写真中=樹齢600年という巨木・丸尾のブナ
写真下=振り向くと東側には南アルプスの山並み
 
中高年の山ある記