昨年12月18日に行われた「ながの門前まちあるき」のテーマは、「みんなで『まちなか本さんぽ』体験」。西町でゲストハウス「1166バックパッカーズ」を経営する飯室織絵さんが案内人だ。
「まちなか本さんぽ」は、店主が選んだ本を店内で閲覧できるようにしたり、貸し出しや販売したりする催し。善光寺門前から長野駅前の49店が参加し、昨年10月から12月に初めて開かれた。この日はその中から5カ所を歩いて巡った。
初めに訪れたのは、大門町の中央通り沿いにある「松葉屋家具店+くらし道具学研究所」。江戸時代末期創業の松葉屋はかつて漆器、役場や学校用家具などを製造販売。今は上質な一枚板のテーブルや手織りのじゅうたん「ギャッベ」などを扱う。
店の一角にある書棚には、インテリアや木工、デザインなどの本が収まっている。家具店内に本を置くのは、「家具と本は相性がいい。本を読む場をつくることをしたい」から―と滝沢善五郎社長。近く貸し出しも始めたいと話した。
1166バックパッカーズには、ダイニング近くに宿泊者向けの書棚が。旅や暮らし方、リノベーションなどの本がある。ここには世界から旅行者がやってくる。書棚の横には訪れた外国人が自国の紙幣をびっしり貼り付けた地図もあり、見飽きなかった。
次は1本西の通りにある「図書館・古本ギャラリー マゼコゼ」(長門町)へ。倉庫だった建物をリノベーションし、小さな展覧会や雑貨販売などを行う。テーブルとストーブが置かれた1階と、ギャラリースペースのある2階に大きな本棚があり、建築や美術、旅行の本などがぎっしり。「本を通して人がつながっていけばいい」と店主の小池つねこさん。本を読むだけのために訪ねられる場所だ。
最後に立町の「平野珈琲」へ。店主の平野仁さんは以前、札幌市でブックカフェを営み、本のイベントに携わっていた。今回はコロナ禍に合わせて客が密集しないかたちで行う催しとして、「まちなか本さんぽ」を企画した。
イベントは12月で終わったが、「コロナの状況を見ながら、また開催を考えたい」と平野さん。催しとは別に、常に訪れて本を読むことができる所もある。
各店の本は、店のカラーや店主の関心を反映していて、面白い。本を読んで過ごせる場所が、門前に意外に多いことも知った。
(竹内大介)
写真=店を訪れた人が読めるように多くの本を置く松葉屋家具店(上)とマゼコゼ(下)
1月のながの門前まちあるき
(1)15日(金)14:00~16:00、「初笑い、表参道珍道中」。案内人は芸能事務所所属の高野康平さん。
(2)16日(土)14:00~16:00、「探訪 邦楽とお座敷文化」。案内人は箏曲師範の竹内大介さん。
定員は各10人。参加費1000円(学生500円)。(申)(問)まちくらしたてもの案内所(電)090・1553・1485
(2021年1月9日号掲載)