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21年3月 栽培適地変化の心配 品種転換への模索も

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 別れの季節です。私も先日ママ友との別れを経験しました。娘同士も親しくしていましたが、故郷の愛媛で新たな生活を始めることになりました。

 引っ越しの前、「リンゴからミカンになるね」と言うと、「信州人のリンゴほど、愛媛の人はミカンとともにいないよ」と意外な言葉が返ってきました。ミカンが育てられるのは海沿いが多いため、市街地に住んでいるとあまり身近ではないようです。

 愛媛のミカンは5月上旬ごろ花をつけます。白く細長い花弁と香りの強さが特徴で、開花すると町が甘い香りに包まれるそうです。

 ミカンとリンゴが抱えている共通の課題が、地球温暖化による栽培適地の変化です。

 ミカンの栽培に適した気候の条件は三つ。(1)年平均気温が15度~18度(2)冬の最低気温が氷点下5度以下にならない(3)8月~10月の日照時間が長い―です。愛媛や和歌山など主要な産地は今のところこの条件に当てはまっています。

 ところが農林水産省によると、2050年ごろにはミカンの適地が関東平野や南東北の沿岸部まで拡大し、現在の主な産地は栽培に適さなくなります。リンゴは西日本で栽培できなくなる一方、これまで適地でなかった北海道でも育てられるようになります。

 栽培適地の変化は、果物を消費者に安定供給できなくなる心配があり、新たなビジネスを模索する動きも出てきています。たとえばミカンの場合、より温暖な気候を好むブラッドオレンジへと転換を進める産地もあるようです。

 かつての常識が通じない今の時代、変化を受け入れ、適応していく柔軟さは私自身も身につけていきたいものです。

(気象予報士)


(2021年3月27日号掲載)
 
松元梓の四季彩々