
3月上旬の好天の日を見計らって、日当たりのよい長野市七二会の陣場平山(1257メートル)へ出かけた。南側の松代方面から眺めると、稜線部分が平らに見える里山だ。
三十三番観世音遊歩道の入り口にある矢口駐車場を過ぎ、曲がりくねった県道を上って行くと路面は落石だらけに。さらに雪で進めなくなったため、車を置いて歩き始める。
間もなく、三十三番観世音遊歩道の出口に。さらに15分ほどで広い駐車場のある地蔵峠に着く。ここまで車で来て春の快適な山歩きを楽しむつもりだったのに、標高千メートルを過ぎると、まだ一面真っ白だ。
峠の先から歩道に入り、雪道を東側へ進む。無線中継塔を左右に見ながら歩いていくと、小高い頂にある一等三角点に。一等にしては看板があるだけで地味な三角点だ。ここが陣馬平山の山頂になる。

さらに東へ進むと、こぢんまりした木造の山の家が現れた。中をのぞくと机と椅子があり、研修にでも使うようだ。
この付近は北側の眺めが素晴らしい。右から飯縄山、黒姫山、妙高山、そして正面に高妻山の全容が望める。その左は戸隠の表山から西岳へと続く。
眺望を楽しんだ後、また東へ進むと、あずまやのある展望台に。今度は南側が開け、眼下に善光寺平の南面を望む。上方には菅平から根子岳の雪面が。
そこから先はいったん下り、急坂を上り返した頂に葭雰(よしきり)神社がある。立派な鳥居の先は杉の木のある参道になっている。両脇に岩石を積み上げた社殿は不思議な形をしている。飯綱神社の前宮と伝えられ、毎年5月には例祭が行われるという。
神社の先には、立派な義民顕彰碑が。案内板によると、この一帯は江戸時代に入会権紛争が繰り返され、松代藩に訴え出て敗訴し、処刑された先人をしのぶ石碑とある。

葭雰神社近くの日だまりで昼食を取り、帰路は北側の林道に出て地蔵峠へ向かう。平たんでよいと思ったのに、雪が深く案外歩きにくい。時折すねまでズボッと埋まってしまう。所々に道を横切ったシカの足跡が残る。
峠からは西側の萩野城跡まで足を延ばし、三十三番観世音遊歩道を下るつもりだったが、雪のため断念。再び車を置いた場所まで歩き、真っすぐ帰宅した。
(2021年3月27日号掲載)
写真上=山の家付近から望む高妻山
写真中=展望台から見下ろす善光寺平と菅平
写真下=もう一つの頂に立つ葭雰神社